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映画を楽しむ「大統領の執事の涙」

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執事が流した涙は、父親として息子を理解しなかった懺悔の涙

1926年アメリカで黒人差別があった時代。
南部の綿花畑でゲインズ一家は働いていた。
父と母と息子のセシル。
畑の持ち主の白人が母親に目配せすると母親は男の後に
ついて小屋の中へ母親の叫びが聞こえるが誰も文句を言えない。
母親が小屋から戻ると父親が白人に声をかけてなにか言おうと
したら突然銃で撃たれ亡くなる。(この時代黒人は奴隷扱いだった)

畑の持ち主の老婦人がセシルを家働きの下男として給仕をさせるが
セシルは、ここにいたら白人に殺されると思い家を出て行く。
このとき母親は正気を失い廃人になっていた。

セシルはいつも空腹でいた。
そして、ガラスを割って盗みに入ったホテルで黒人の給仕に助けられ
見習いのボーイから給仕になる。
黒人の給仕はワシントンD.Cから執事にならないかと推薦を受けて
いたが高齢のため断りセシルを代わりに推薦した。

1957年セシルはワシントンのホテルで執事をしていた。
ホテルで知り合ったグロリアと結婚し息子を2人授かった。
ある日、セシルにホワイトハウスから電話があり総執事長を訪ねる。
そして、執事の仕事を依頼される。
総執事長はセシルを見てハウス・ニガーに適任だと言う。

ここに大統領の執事セシルが誕生する。
執事は「見ざる聞かざるをモットーにして相手の目を見て察しろ」と
言われる。

物語は、セシルがアイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン
レーガン大統領に仕え引退するまでを描いていく。
家族は、セシルの勤務に残業がつきものでグロリアが酒に溺れ
長男が黒人差別運動の活動家になり、次男がベトナム戦争で
亡くなるなど執事としては立派な男だったが家庭の父親としては
必ずしもいい父親ではなかった。

映画の終盤でやっとセシルは息子のやっていることを理解し勘当
した息子に許してくれと謝りマンデラ解放運動のデモに参加する。
2008年アメリカの大統領候補に黒人が選ばれる。
そして、オバマ大統領が誕生する。

「世の中をよくするために、父さんは白人に仕えている」
セシルの生い立ちを考えればセシルの生き方に矛盾はないが
息子たちの世代は黒人差別そのものに反対している。
やがて父と息子は和解しアメリカに黒人の大統領が誕生する。

生きかたのお勉強ができる映画です。
執事の家庭と仕事を覗いてみたいひとにはお勧めです。


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