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読書を楽しむ「エリザベス・ストラウト 何があってもおかしくない」

CIMG7259.JPG                               アメリカ中西部にある町アムギャッシュ                                          さびれたこの町を出た者もいれば                                          そこで暮らしている者もいる                                   トミーは酪農場をイリノイ州アムギャッシュから2マイルのところに持っていたが                            ある夜に畜舎から火が出て住んでいた家屋も焼け落ちた。一家は何もかも失った。                            土地を処分しアムギャッシュに家を見つけた。                                            彼は火事の夜、この世で大事なものは妻と子だと実感した。                                      それを火事で神が伝えようとしていたと思っていた。                                      トミーは公立校で用務員の職を得た。35歳だった。                                  時が流れ妻の82回目の誕生日がやってきた。                                    車を走らせながらバートン家のことを看板を見て思い出した。                                   バートン家はアムギャッシュの町では下層の人間と見られていた。                                   今も自宅にはピートという息子がひとりで住んでいる。                                  すぐ下の妹は三っ先の町にいる。                                             末っ子のルーシー・バートンはN.Y.に住みついて作家になった。                                    酪農場でバートン家の父親を臨時で雇っていたことも思い出した。                                  トミーはルーシーのことを一番よく覚えていた。                                         無口な子で、放課後も学校から帰りたがらないことが何年も続いて。                       中学生になったルーシーが教室でチョークをわざと折っているのを目撃し                一緒に折ったことがあった。                                       駐車場で保険屋のグリフに声をかけられた。この男はトミーには親身に                  なってくれる男だった。グリフにはドラッグに手を出している孫がいた。                       衣料品店ではマリリンに出会い妻用に花柄のスカーフを選び出してもらった。                             帰りに彼はバートン家のピートを訪問した。ピートから父親が火事のあった                           晩に搾乳機の電源を入れにいったという話を聞いた。                         (「標識」という短編から抜粋)                                                何気に世間のひとは世間のひとのことを知っていて、歳を重ねるとともに                 何があってもおかしくないと思うようになる。


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