読書を楽しむ「黒川博行 離れ折紙」
折紙とは足利のころから刀の研ぎと手入れを家業として 秀吉の御用を承った本阿弥家が発行を許された 鑑定書のことをいう 会員で持ち寄った骨董品を鑑賞しながら食事をする会でパチンコ店経営の徳山から 借金の相談を受けた病院経営者の伊地知は担保として日本刀の名刀”孝相”を折紙付きで 預かることになった。 日本刀の孝相は古美術商の菊池が徳山から担保として預かっていたが徳山が返済期限 までに返済できず伊地知に泣きついた。 伊地知も日本刀を保有している刀剣マニアだった。 伊地知は徳山に金を貸せば、徳山は菊池から孝相を取り戻すことができるが、徳山は 伊地知に返済する金がない。 だから、日本刀の孝相はいずれ自分のものになると考えた。 依頼された借金は1400万だったが高くない担保だった。 刀剣マニアの目利きは、刀工や歴史や折紙やとなまじ知識があるだけに、刀そのものを 素直に見ることができない。 名刀を名刀という先入観で見てしまうので、おかしいかなと思っても欲で目が曇る。 そんな八分ものというよくできたニセモノを掴まされた男の物語。 旧家の当主が亡くなって、遺族が刀を売る時、折紙の存在を忘れることが多々ある。 それを”離れ折紙”という。 刀剣詐欺師が離れ折紙を手に入れ、折紙に合う刀を探して贋刀にする。 うまくできたお話だ。