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読書を楽しむ「須賀ケイ わるもん」

CIMG8183.JPG                                     わるもんって父親のことだった                                         簑島家では娘の純子と鏡子と祐子にとっては父、母の涼子には夫。                                 しかし家族にとってはいつも、悪者。                                            父は自宅の納屋を改装して、そこに硝子品をつくる小さな工場を設けた。                           母は厠だといい、鏡子は準ゴミ屋敷、祐子は豚小屋、純子には秘密基地だった。                              高校生の祐子が煙草を隠れて吸ったのも工場だった。                                      煙草をぷかぷか吸う父の影響だった。                                           涼子が夫に文句を言ったらでかい屁をこいた。                                       簑島家には広い庭がある。                                                 父はそこで横になると母が跨ごうが、掃き掃除をしようが動じない。                               パンのカスを庭に投げ入れるものがいた。                                         父は、秋桜に引っかかった食べカスを拾い集めた。                                    涼子はそれを見て青筋を立てた。                                   玄関に見知らむ靴があっても泥棒ではなく、父が銭湯で誰かの者と履き違えて帰って                    きたためだった。父にとっては日常茶飯事だった。                            裁縫をしているとき、絵本を読んでいる時、マニキュアを塗っている時、トイレで用を           足しているとき急に電気が消えたら父の仕業だった。                          父には家族の姿が見えていない。                                   母と鏡子と祐子も父の姿が見えていない。                                      3人がいないのと同じようにふるまうから。                                   5人家族のうちで4人が女であれば男は悪者かも知れない。                       男というモノは、時としておかしな行動を取る。                             浜辺に流れ着いた漂流物を拾ってきて庭や工場にためていく。                      家族から見れば辞めてと思うが、世間から見れば浜辺の清掃活動に尽力した                ということになる。                                           女の中に男がひとりということは、居場所がなくて無駄なことや馬鹿なことを                 してしまうということを女は理解できない。


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