読書を楽しむ「三木笙子 帝都一の下宿屋」
京橋区は銀座に南紺屋という町がある ここに「静修館」という下宿屋がある 大家の梨木桃介は無類の世話好きで家事万端をこなす名物男だった 下宿人のひとりに小説を書くことを生業としている仙道湧水がいた ふたりは大根河岸と呼ばれる青物市場へ出かけ、桃介が耳目堂という広告代理店の 鴨川から声をかけられた。耳目堂の経営者の元木が桃介の祖母と関りがあった。 元木が助川醤油の広告を引き受けた際に、桃介の祖母に世話になっていた。 その助川醤油が手抜きの商品をつくり売って大儲けしているという噂が出た。 醤油の樽には偽造を防止するために正真正銘の証として高度な技術で印刷された 張紙がされていた。 新品の状態で届いた樽の中身が粗悪品だったら、製造元が最初から粗悪品を入れたと 考えられた。 そして仙道湧水が桃介のために助川醤油を調べると言う探偵の真似事をはじめた。 耳目堂の元木は30ほど年の離れているサチという京橋の行きつけの蕎麦屋の 下働きの娘を嫁していた。サチには太一という弟がいて車夫をやっていた。 鴨川も蕎麦屋に通っていて太一と知り合いになり、鴨川のお抱えの車夫になった。 元木は鴨川の叔父にあたり、鴨川は後継者と目されていたがサチが男の子を生んだ ため、自分の居場所がなくなり、張紙を発注できる己の立場を利用して金儲けを 企んだのではないかと湧水は推理したが、鴨川は白だった。 小説家の下宿人・仙道と大家の桃介は事件を解き明かすことができるのか?