読書を楽しむ「岩井三四二 光秀曜変」
信長追善供養の席で天目茶碗が披露された
外側は特徴がないが、内側は瑠璃色の玉が一画に散らばって
光の当たり具合でさまざまな色に変り
満天の星を見ているようだった
これを曜変天目と言った
同じように焼いても出来るのは万にひとつの名品だった
人間も茶碗と同じでおなじように歳をとっても
出来上がり具合は全く違う
本能寺の変の前日、光秀が小姓を斬りつける騒ぎを起こした。目が覚めたときに信長が目の前にいて叱責される夢を見た。このことで信長が襲ってきて一族は根絶やしにされると思い込む光秀。家臣になだめられ一旦は床についたが起きた時に、光秀は槍を持ち馬に乗って、京へ駆け上り夜明け前に本能寺に着くので、信長を刺し殺し、自らもその場で腹を切って果てるとおかしなことを言った。光秀の謀反は、あまりに突発で意外な出来事だったので、誰もがその理由をはかりかねた。本能寺の変の前後を描き、本能寺の変での光秀は67歳という年齢設定になっている。現代でいうところの認知症を患っているような気配を窺わせた。歴史ものは読むことで諸説あり、これまた楽しい。