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読書を楽しむ「シャルル・バルバラ 蝶を飼う男」

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世界の無数の蝶をパリの自宅で飼育する人間嫌いの男の物語  

私は博物学をしている友人からメモを受け取り、三千匹以上の生きた蝶と額縁の形をした標本ケースに数匹の蝶の展示が見られると書いてあった。好奇心を駆り立てられ、指定された住所を訪れたが見当たらなかった。数日後、メモの主は蝶を飼育する男・ビショニエの家に行って、数百匹の美しい蝶がガーゼの籠の中で動き回っているのを見たと断言した。再度、ビショニエを探し回ったら彼は引越していた。引っ越し先を訪問した。男は中背の35歳から40歳くらいの男で狭い中庭に面した小さな部屋の片隅に腰かけて粗末な食事を摂っていた。ビショニエは大きなガーゼの籠を指さし、その籠は4つの部屋に仕切られていた。上の部屋のひとつでは多くの蛹が一本の糸でガーゼにぶら下がっていた。もうひとつの部屋では20匹の生きた蝶がいた。小さな動物たちが翅をばたつかせて飛び回り、植物の樹液を吸うのを目にした私は鮮やかないきいきとした色彩にうっとりと見とれた。エジソンが電気機器を発明する20数年前に書かれた幻想作品は五感を刺激する。飛び交う蝶をイメージしながらビショニエの部屋を楽しむとそこはまさに幻想の世界と化す。


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