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読書を楽しむ「吉野万里子 海岸通り ポストカード カフェ」

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横浜・みなとみらいの万国橋のたもとにそのカフェはあった

淡いブルーの壁と白い格子の窓が目印

店内には壁じゅうにポストカードが貼られていた

このカフェ宛に葉書を出したひとのカードだった 

オーナーは瀬尾龍之介と言い相当の偏屈者。店員の名は松井朝陽。今日もポストカードカフェ気付で「横浜みなと女学園 五月雨丈司先生」という葉書がきた。カフェでは学園の住所を調べ、五月雨先生に案内状を出した。「五月雨様宛の葉書が届いています。一度、当店へお越しいただければ幸いです。」と文面を書いた。葉書を受け取った五月雨は首を傾げながらカフェを検索し、いたずらでないことを確認し、五月雨はカフェを訪問した。カフェにあった先生宛の葉書には「わたしはもう二度と先生に会えなくなりました。」から始まった2行ばかりのメッセージが書かれていた。送り主は「さき」と書かれていた。 先生は送り主に覚えがなかった。学園で机の整理をしている時に葉書の束が出てきた。 旅行や部活の合宿先から先生宛に送られた葉書だった。その中に切手の貼っていない絵葉書があり、その差出人が「さき」だった。昔の生徒の記録が入っている名簿を探し「新倉咲季」の名を見つけた。18年前の葉書だった。5月下旬、五月雨先生は奈良・京都へ修学旅行に出ていた。旅先で昔の教え子が宿を訪ねてきたので新倉咲季のことを確認した。 咲季は写真部に所属していて、当時母親が鬱病で悩んでいた。咲季は先生のファンだった。8月に入り、「さき」からポストカードカフェ気付で先生宛に葉書が届いた。  「来月、手術を受ける」と書かれていた。

葉書1枚に綴られたひたむきな想いは、やがて文通へと続く。五月雨先生は教え子に会うことができるのか?ほかにもポストカードカフェを巡るエピソードがいくつか掲載されている。カフェを中心とした物語ではあるが先が読みたくなる展開で話が進むようになっているため飽きずに読める。SNSの世の中でポストカードはなんともユニーク。


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