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読書を楽しむ「篠田節子 はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」

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盗撮用ラジコンカーに追われる女子事務員・藍子

藍子は大学を卒業して地元の零細企業「松沢化学」で事務員として働いている。会社が部品を納めている産業用電気機器メーカーの興田電機に工場の一角を昨年から貸している。商品の開発プロジェクトチームがなにかを試作をしていた。チームの中に藍子の好きな技術系男子・金森がいた。バレンタインの日に藍子は金森にもチョコを渡した。その金森はさよならの言葉もなく東京へ戻って行ってしまった。金森の机を片付けていた時に藍子は携帯ストラップを見つけた。そして彼女は自分へのお返しのプレゼントだと思い、それをペンダントにした。藍子は実家に妹一家が住んでいるので、祖父母の家にひとりで住んでいる。祖父は亡くなり、祖母は叔母が引き取った。家にいたとき、かすかなモーターの音を聞いた。ラジコンカーが藍子の足下に来て暗赤色の光を放った。それはカメラのフラッシュだった。藍子はワンピースの中を盗聴されると思いラジコンカーを蹴飛ばした。気味が悪く110番通報した。パトカーが来て一部始終を話したがラジコンカーは姿を消していた。その後も風呂に入った時に現れた。工場長に相談したらラジコンカーが誤作動を起こす妨害電波発生装置を貸してくれた。翌日もラジコンカーは藍子の家に現れた。藍子は実家に車で行って妹に盗撮用ラジコンカーに付きまとわれていると言った。実家にもラジコンカーは現れた。体をなで回し抱きついたりされた。そのラジコンカーは勝手に充電もできた。藍子は、なぜラジコンカーに執拗に追い掛け回されるのか考え、「なんで私なの」と叫んだ。AIが世に出つつあることで世の中が劇的に変化するとこのようなことも起こり得る。人工知能を装備したラジコンカーにチンパンジーの習性をインプットしたら盗撮ラジコンカーになってしまったというような物語。


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