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読書を楽しむ「太田忠司 道化師の退場」

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2017年7月23日渋谷の松濤にある邸宅の2階で

作家の来宮萠子がペティナイフで殺された

110番通報した永山春佳の指紋がナイフの柄から発見され

逮捕されたが、翌月留置所で自殺した

永山春佳の息子・櫻登は名探偵の桜崎真吾に

母親の無実を証明して欲しいと依頼した  

そのホスピス篤志館は茅ヶ崎駅からバスに乗った広い丘陵地にあった。永山櫻登は患者の櫻崎真吾を訪問した。櫻登の母親・永山春佳は4年間だけ櫻崎の下で働いていたことがあった。櫻登の訪問の目的は母の無実を証明して欲しいという依頼だった。ところが櫻崎は癌に侵され余命半年だった。櫻崎を円城寺という男が世話していた。櫻登は母親の事件の自分が知っている範囲のことを話し自分で事件を調べ櫻崎に報告し助言を仰ぐことになった。そして櫻崎は来宮萠子と永山春佳の関係について調べるよう指示し、出版社・元永社の来宮萠子の担当編集者・小松を紹介され11年前の夏に出た雑誌から来宮萠子の少女時代の写真を発見する。写真にはふたりの少女が写っていた。ひとりは来宮萠子で、ひとりは永山春佳の母親らしいと判明する。

来宮萠子は村尾尚也と結婚し3人のこどもを生んでいたが書いた小説が賞を獲った後、こどもたちを捨てて家を出て行った。長男の仁史、次男の拓斗、長女の美里で長男は村尾病院の脳神経外科専門の院長だった。拓斗の消息は不明で、美里は車椅子の音楽家だった。櫻登は村尾邸を訪問し尚也から来宮萠子の友達の名を聞き出す。相楽蕾という名で結婚して永山蕾になったことを知る。蕾はお見合いで銀行員の永山靖之と結婚し春佳を産んだが翌年亡くなっていた。永山靖之は春佳を育てていたが洗濯物を干しているときにベランダから落ちて亡くなった。春佳は蕾の友達だった来宮萠子が引き取り育てた。その育ての親を春佳が殺した。

彼が母親の過去を調べていくと村尾拓斗は表参道で運転手が心臓発作を起こした車に轢かれていた。村尾仁史は論文で頭部移植を発表していた。そして、再び殺人事件が起きた。被害者は村尾尚也で死因は絞殺だった。たくさんの登場人物がいて、それぞれにつながりを持っていて、引き込まれて読んでしまった。

道化師とは櫻崎が学生時代に劇団をやっていて道化師が当たり役だったのと永山櫻登が大道芸でピエロをやっていることに由来している。


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