SSブログ

読書を楽しむ「神護かずみ 償いの流儀」

CIMG5641.JPG

西澤奈美は児童養護施設を出て17年

今は新宿の大久保の雑居ビル「メゾン・ヒラタ」の一室で

デイ・トレーダーをしている

奈美は昔、企業に生じるトラブルの始末をする元総会屋の男の許で働いていたが、ある半導体メーカーの案件で同じ施設で育った雪江に出会い一緒に仕事をしたが雪江が商売のカラクリを知り、男の罠に落ちて亡くなった。

いつも立ち寄る「角屋」というタバコ屋の70代後半の久子さんが息子を装った男に250万円の詐欺に遭った。「メゾン・ヒラタ」の隣にも雑居ビル「倉田ビル」があり、そのビルにほか弁10人分をビニール袋に入れた男を数回奈美はメゾン・ヒラタのオーナーと一緒に見た。10人近い人間が昼食を弁当で済ませることにふたりは疑問を抱いた。弁当係の男はビルに戻るときに路を絶えず変えていた。男が入った305号室は㈱MTMプランニングという社名だった。奈美は興味半分にウェブページを調べたが見つからなかった。タバコ屋のばあさんみたいに罪のないのに騙され、悲嘆に暮れるひとたちがいることに重苦しさを抱いていた奈美は食事をした店の会計の末尾が偶数なら部屋に戻って眠るが、奇数だったら倉田ビルの305号室を監視することにした。末尾は7の奇数だった。奈美は弁当男を追跡してわざとぶつかり男のポケットにボタンに見せかけた盗聴器を入れた。音声を録音し公衆電話から警察に電話を入れ、ビルの一室で特殊詐欺が行われていると告げ、場所と会社名を教え、音声を聞かせた。倉田ビルを根城としたオレオレ詐欺グループは一斉検挙された。逮捕から半月以上が経過したある日、百人町の高架下で奈美は弁当男を見た。「メゾン・ヒラタ」に戻るとパトカーが停車していてオーナーが弁当男を見かけたのでパトカーを呼んだと言った。美奈は部屋の前の外廊下にボタンが置いてあるのを見つけた。弁当男のポケットに入れた盗聴器だった。奈美は弁当男に自分の住まいを探り当てられ、相手の住まいも名前もわからない。部屋に籠っても事態は好転しない。自分をエサにして、相手を探ろうとしたが・・・。ドラゴンタトゥの女のように暗黒の世界に生きる女は手強い。物語はタバコ屋のおばあちゃんのお金を取り戻すまで続く。一気読みできるおもしろさ。


共通テーマ: