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読書を楽しむ「夏川草介 新章 神様のカルテ」

DSC01415.JPG                                          大学の医学部を卒業して、地方都市の一般病院に勤務している                                    内科医・栗原一止の物語                                                     24時間365日対応の病院で患者のためだけに働いていた一止は                                      慢性的な睡眠不足と劣悪な労働環境の中で命を削っていた                                        彼には山岳カメラマンの榛名という妻がいて

「あなたの周りでは毎日ひとが亡くなります

優しいひとも、大切なひとも、楽しいひとも素敵なひとも

みんな亡くなります。それを見守る夫は、疲れているように

見えるが私にはなにもできることがない」と言う

そんな妻に夫は言う「これからも一緒に生きていくのだ

ふたりならどんな道でもきっと歩いていけるんです」

医者も人間、ひとを支える相棒がいることほど心強いことはない                                              栗原一止と榛名には2年前に小春と名付けた子どもができたが、生まれた時から左の股関節に故障を抱えていた。そのことで今でも安曇野のこども病院に足を運ぶ生活が続いていた。一止は2年前に一般病院から大学病院へ勤務先が変わった。新しい勤務先は積み上げてきた実績と常識が通用しない特異な世界で右往左往するばかりの日々を送っていた。日本の医療において、技術と知識と人事の頂点に君臨しているこの組織は、実に奇怪で一種の迷宮を形成している。大学病院という場所は、患者よりも医師の数の方が多い。一般の医療機関ではありえない。                                                     教授、准教授、講師に助教、医局員、大学院生、研修医、非常勤にアルバイトとあらゆる立ち位置に大量の医師が配されている。600床のベッドに対し1000人を超える医師が、事細かく専門に分かれ、病院全体で30を越える科が存在する。組織も複雑であるにもかかわらず、建物も外来棟、病棟、検査棟、医局棟、基礎研究棟などがあり、地下道や渡り廊下で結びつけられている。巨大な組織に無数の医者がいるから検査や治療が迅速に進むであろうかと思えば、まったくそうでない。医師たちは様々な都合に引き回されて、院内を右往左往している。こんな信濃大学病院の消化器内科配属された一止は1年目の研修医と4年目の内科医と指導医の4人で班を形成している。これだけの人と物が集まっている大学病院では一止から見るとおかしなことがたくさん起きている。一止は言う「私は患者の話をしているのです」と。舞台が大学病院に移り、医療に対するささやかな希望を多くの人に届けたいと願う                作者のこころがズキンと読者に伝わりました。             


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