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読書を楽しむ「東山彰良 どの口が愛を語るんだ」

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平山圭一は中学3年生の時に東京から両親と一緒に

熊本と鹿児島の県境にある小さな町に引っ越しをしてきた

その町は無名の温泉地のそばにあった。父親はフランスのおしゃれな田舎者のような格好で築70年の古民家をリフォームしてイチゴをつくろうとした。そんな姿を見た地元の人からは相手にされなかった。両親は一日の野良仕事が終わると暖炉裏のそばでワインを飲んだ。圭一は自転車で30分走るところの中学に転入した。富川が学校で圭一に声をかけてきた。彼の家は小料理屋をやっていた。最初は東京もんということで歓迎されたが父親のことが知れた途端に人が離れていった。学校にはひとり浮いた存在の女の子涌井ユナがいた。学校でひとりになり圭一は彼女の姿を追いかけるようになった。大雨が降った日の帰りに不良の笹岡俊満に金を要求されたが金を持っていなかったため解放された。翌日学校で富川と喧嘩しそうになった時、涌井ユナに止められた。富川は涌井が笹岡とまだ付き合っているのかと聞いた。笹岡は暴走族に所属していたが仲間がオートバイで死んでから学校を休んでいた。その笹岡が団地の屋上から飛び降りて大怪我をした。圭一は笹岡が飛び降りた団地へ行って涌井ユナに出会いほんの一瞬だったけれど、何かが通い合ったような気がした。ユナのことで頭がいっぱいになった。ユナの母親は素っ裸で男を接待するスナックをやっていた。その客に猿を飼っている渡辺がいた。圭一は夏休みにスナックに入ろうとするユナを追いかけていた。そしてふたりで夏祭りへ出かけた。ユナは中学を出たらお母さんの店を手伝うと言い、圭一は鹿児島にある全寮制の高校へ行くことになっていた。祭りの提灯の下に猿を肩に乗せていた男がいた。男は渡辺という名で、そう遠くない未来にユナを殺す男だった。中学生で熊本に引っ越してきた圭一が恋をし、ユナが殺され、笹岡と一緒に猿に火を付けるが、それは愛ではなく暴力の本質をすり替え、責任転嫁したというだけということをふたりの男は気づかないでいたというお話。


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