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読書を楽しむ「カイリー・リード もうやってらんない」

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舞台は2015年のフィラデルフィア

25歳のアフリカ系アメリカ人エミラと

33歳の白人アリックスを巡る無意識の偏見

アリックス家の窓に卵が投げつけられ人種差別主義者という声が聞こえた。アリックスはベビーシッターのエミラに電話を入れ緊急事態が起きたので警察を呼ぶ間、2歳の娘ブライアーを近所の高級スーパーマーケットへ連れていってほしいと依頼される。エミラは友人の誕生日パーティに出ていて残り1時間で終わろうとしていた。預金の残高も少なかったのとエミラは現金が必要だったので依頼を引き受けた。高級スーパーマーケットへ深夜に白人のこどもをパーティの服装で連れて行ったので警備員にベビーシッターと言っても信じてもらえずこども誘拐の疑いをかけられた。ブライアーの父親ピーターに電話を入れ迎えに来てもらった。ピーターがキャスターを務めている番組で高校のダンスパーティの映像を流した。この映像に黒人男子生徒が女子生徒にバラを一輪差し出したが女子生徒の父親の承諾を得ていなかったことが卵を投げられた原因だった。

大学卒業後、定職に就かずにベビーシッターと緑の党支部のタイピングの仕事をパートでしているが、そろそろきちんと健康保険に入れる職に就きたいと思っていた。雇い主の白人女性アリックスは正式に抗議すべきだと焚きつけてくるが、エミラは今一つ気が進まない。一方、エミラが今付き合っている彼氏が、高校時代、エミラの雇い主アリックスのボーイフレンドだったことを知る。エミラのボーイフレンドはアリックスが高校の時に付き合っていたケリーだった。アリックスは高校の時に豪邸に住んでいて、生徒のグループがアリックス家のプールで泳ごうとしたとき黒人生徒が警察に逮捕された。

黒人を雇ってこどもの世話をさせ、その土台で家族を成り立たせているアリックス。真夜中に白人だらけのスーパーに行かせ何の問題も起こらないと思っているアリックス。来学期から大学で授業を持つことになりブライアーの面倒を見て欲しいと頼むアリックス。エミラが使っている水筒は発がん性があるかも知れないからガラスかステンレスの水筒を買いましょうというアリックス。高級スーパーマーケットで警備員に誘拐の疑いをかけられている動画がネットに流れたエミラ。ブライアーが一番愛している母親に無視されていると思っているエミラ。エミラは週21時間ブライアーと一緒だった。

人を助けたいと心から思っても、人々を窮状に追い込んでしまう社会のシステムの歪みにエミラはもうやってらんないとは言わないが自分で自分の面倒を見られる人間になって欲しいと願っていた。


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