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読書を楽しむ「瀬尾まいこ そして、バトンは渡された」

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人生の一大事を控えた秋の朝

優子の3人目の父親・森宮壮介は何をつくろうか

意気込んで台所に向かった

娘の結婚式の日で未来へのバトンを渡す日でもあった                                                 生まれた時は、水戸優子だった。その後、田中優子となり、泉ヶ原優子となり、現在森宮優子を名乗って17年生きている。父親が三人、母親が二人いる。だから何をもって本当の親と言うのかわからない。実の母親は優子が3歳になる前に買い物の帰りにトラックに轢かれて亡くなった。2番目の母親は梨花さんと言って優子が小学校2年生のときに父・水戸秀平と結婚した。梨花さんと暮らし始めてから、いいことばかりだった。2年が経過して父がブラジルに転勤することになり夫婦は離婚した。優子は父と暮らすか、梨花さんと暮らすか選択を迫られ日本に友達がいることを理由に梨花さんと暮らすことになった。梨花さんとの暮らしは自由で楽しかったけど楽ではなかった。養育費だけでは生きて行けず梨花さんは保険の営業として働き始め、家賃が払えず小さなアパート引越した。小学校6年の時にピアノを習いたいと言った。小学校の卒業式の日に梨花さんは引越しすると言った。翌日の朝から引っ越しが始まり荷物を運んだ先は大きな風格のある家だった。梨花さんは、この家とピアノと新しい父親も一緒に手に入れたと耳元で囁いた。新しい父親は不動産会社の社長で泉ヶ原茂雄さんと梨花さんが紹介した。年齢は49歳で梨花さんの保険会社のお得意さんだった。この家にはお手伝いさんもいた。ピアノ部屋もあった。会ったことがないひとが突然父親になったので途方に暮れたが親が決めたことに従うしかないと考えた。生活はがらりと変わった。家事はお手伝いさんがすべてやってくれた。梨花さんは会社を辞めすることがなくなった。住まいや父親が変わったことに抵抗はあったが不満を持つような状態ではなかったのでこれが私の生活なんだと納得して暮らした。3ケ月を経過して梨花さんは「息苦しい」「退屈だ」と言うようになった。ある日学校から帰ると梨花さんはいなくなったが翌日から夕方訪ねてきて一緒に行こうと誘われたが断った。中学の3年生のときに梨花さんが現れて東大卒の中学の同級生と付き合っていると教えられ、中学を卒業した春休みには籍を入れた報告を受けた。そして優子を泉ヶ原さんより引き取った。優子は自分を受け入れてくれるひとと共に暮らしたひとと離れたくないと思いつつ「どっちでもいいよ」と言って梨花さんと暮らすことになった。母親は死んでしまい、実の父は海外に行き、梨花さんには振り回されているが自分が今いる場所で生きていくしかないと心に決め、住む場所と一緒にいるひとが変わるだけと割りきった。そして3番目の父・森宮壮介35歳と暮らすことになった。森宮さんと梨花さんと優子の3人の生活は2ケ月で終わった。梨花さんは「探さないでください」と手紙を残して消えた。それからしばらくして梨花さんから再婚するのでという手紙が届いて離婚届が同封されていた。                                                 こうしてこの物語は森宮優子と森宮壮介の私生活と高校生活を中心に話が進んでいく。そしてその先には優子の結婚式が待っていた。2019年本屋大賞受賞作品。血の繋がっていない親子の物語ではあるが関わる親たちがやさしく優子は全然不幸でなくシンデレラスト―リー過ぎてイマイチ拍子抜けのような気がするが全国の書店員さんが選んだ作品なのでありがたく読ませていただいた。2021年10月に映画化された。


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