SSブログ

読書を楽しむ「上田未来 人類最初の殺人」

DSC03727.JPG

20万年前のナイジェリアのオショボ

ホモ・サピエンスたちが群れで暮らしていた

母系社会で男は成人すると群れから離れた

群れのリーダーは男で16名で暮らしていた

男は二人一組で狩りに出ていた。一組はリーダーのガルーダと群れのNo.2のルラン。一組は群れのNo.3のマーラーとハンハン。リーダーの組は日没に戻り、女たちと食事をしました。no.3の組はマーラーがひとりでシダの葉に包んだ肉を持ち帰り2度目の夕食をはじめました。ルランはハンハンが戻らなかったことを気にしていました。ルランはマーラーが獲物を取れず、ハンハンを殺して持ち帰ったと考えていました。人間同士の意思が伝わるような時代ではなかったためルランは思っていることをリーダーに伝えられませんでした。群れの仲間はハンハンが群れから出て行ったと理解していました。ルランは証拠を探しにマーラーたちが狩りに出た場所へ出かけました。小さな虫たちが蠢いていた方向へ行くと人間の頭がありました。付近には骨も転がっていました。頭蓋骨の上を触るとへこみがありこん棒で叩いた痕のように見えました。ルランは群れに戻り仲間を説得しようとしますが何を言いたいのかが理解されませんでした。ルランが殺人現場を再現しても動き回っているのを見ているだけでした。5日目の夜にルランは森へ行きました。後ろから「ルラン」と呼ばれ振り返ると鳥の羽根を全身に着けた男がいました。よく見るとハンハンでした。ハンハンは大量の羽根を持つ鳥を殺して氷河時代の防寒着にしていました。このため群れに戻らなくても暮らしていけると判断したのでした。

言葉が現代のように意味を持つ時代ではない20万年前。言っていることが通じない言葉足らずの時代。ルランの思いとハンハンの思いは異なり、ルランは自分の考えを伝えられずストレスを抱え、ハンハンはルランに会えたことを純粋に喜んでいたが相手への理解が未発達の時代では理解されなかった者が理解しない者をそのイライラから殺してしまうこともあった。ルランはこん棒でハンハンを殺した。その遺体が1984年にイギリスの古人類学者によって化石として発見され、法医学で死因を調べたら撲殺されたことがわかり人類最初の殺人となった。自分の意思を正確に相手に伝えられないことから起きる事件は現代でもなくなることはないという話でした。「人類最初の密室殺人」は日本が舞台でこちらもおもしろかった。暇しているときには一風変わった内容の本もいい。


共通テーマ: