映画を楽しむ「終の信託」
命の終わりを信ずるものに託すことは犯罪か
呼吸器内科の医師・綾乃が検察庁から呼び出しを受け
出頭するところから映画は始まります。
そして、綾乃の回想が始まります。
綾乃は病院内の同僚と不倫関係にありました。
ベッドをともにした後、男が次の日出張に出ることを知り
空港に見送りに行きますが男は若い女と待ち合わせを
していました。
男は問い詰められると「結婚するって言ったっけ」と言います。
このことで綾乃はウィスキーを飲み、睡眠薬を飲んで自殺
未遂を起こしますが助かります。
綾乃の患者に江本という気管支喘息の患者がいました。
映画は、この患者の死を巡り殺人か、尊厳死かという方向へ
進んでいきます。
江本は、一度病院を退院し川原で綾乃から声をかけられ
車で送ってもらったときに「最後のときは早く楽にして欲しい」
と綾乃に頼みます。
2ヶ月後、江本は心配停止状態で病院へ運び込まれます。
綾乃も蘇生を試み一度は生き返ったように見えましたが
江本の苦しむ姿を見て彼に頼まれた通り楽にしてやります。
3年後、このことが刑事事件に発展し検事は殺人罪で綾乃を
追求します。
そして、出た判決は有罪。
映画は、全体的に暗いムードに包まれていて希望のない場面が
淡々と続き、観客を楽しませることなく法律通りにひとりの患者の
死を犯罪として裁きます。
でも、楽にして欲しいという願いは患者の立場になると思う気持ちで
高齢化時代を迎える中の一人として病院のベットでなにもできずに
生きながらえることは勘弁して欲しいと思っています。