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読書を楽しむ「谷川直子 四月は少しつめたくて」

002.JPG                                  藤堂孝雄は1950年生まれの詩人である                                             大学在学中に同人誌を主宰し、1970年第一詩集「朝の祈り」で受賞                                               国語の教科書にも取り上げられた                                                 2001年詩集「失うということ」を発表し                                    以後詩作品の発表が途絶えている                                          今泉桜子、女性誌のエディターをしていたが退職し果実社に入社                        「月間現代詩」の編集担当になる                                        専業主婦・清水まひろは藤堂の詩の教室の生徒                                  クルミはまひろの一人娘で高校生                                              クラスの女の子が自殺未遂事件を起こした後、口をきかなくなった                                       訳アリな登場人物たちが詩に接して                                         大切な人の心に届く言葉を探す物語                                                   詩を書かなくなった詩人・藤堂に月刊誌に掲載する詩を書いて欲しいと                                依頼する女性・今泉。                                                      藤堂は今泉に詩人の名を言わせたり、パチンコに付き合わせ金を出させたり、                               競馬場へ連れて行って金を借りたり、振り回していた。                         藤堂は今泉を「藤堂孝雄と詩をつくろう」の教室に呼んで講義内容を見せて、                   自宅マンションへ連れて行った。                                      今泉は、仔猫を預けられ引き受ける代わりに詩を書いて欲しいという条件を出した。                    ある日、編集長から電話があり藤堂が新聞のシャンプーの広告に詩を書いたと言った。                     今泉が藤堂に確認したら詩ではないと言われた。                                 藤堂は愛する人に先立たれ、そのことを受け止めきれていなかった。                          今泉はカメラマンに恋をして捨てられ、お腹には赤ん坊がいて産んだが                  1ケ月後に突然死んだという過去があった。                                            詩が書けなくなった詩人と訳アリ女性編集者。                                                突然口を聞かなくなった娘とその真相を探る母親。                                               登場人物たちが詩に接したことで必要なものが見えてきた。                                それは・・・・・。                                           詩を書く人間は、ありものの流行り言葉で書いても、その詩はその場でウケて                   消費されぬけがらになってしまう。                                  自分で見つけた、手に入れた言葉で書かないと何も変わらないと藤堂は話した。                 詩の言葉は特別で、ちまたには詩らしき言葉が溢れているが、それは詩じゃなく                    声にすぎない。                                                詩人が書く言葉は読む人の心の内側に下りて行って、読んだ人も発見する。                  何度繰り返えされても消費されない強さを持った言葉だと。                              じっくり読書をすると知らないことが見えてくる。本の力は凄い!


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