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読書を楽しむ「星野智幸 だまされ屋さん」

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夏川秋代は古希を迎え、公団に一人住まい

夫・柊一はすい臓がんで亡くなり、長男・優志は市役所勤務で結婚している、次男・春好はサッカー少年だったが高校進学で志望校に行けずグレタが社会人になり一度離婚して、再婚している。娘の巴はシングルマザーで混血の娘がいる。夏川家の家族はお互いが相手に影響を与えすぎて、気にしすぎて、それぞれが歪んじゃった。

ある日、秋代の住む団地に若者・中村未彩人が訪問し娘の巴の家族になろうとしている男だと言って上がり込む。秋代は詐欺ではないかと疑うが若者は料理を作ったりしてフレンドリーに振る舞い毎日のように訪れる。巴の住む団地にも去年の暮れに同じ団地に住む20代の女性・夕海がトイレが壊れたので貸して欲しいと上がり込む。そして毎晩トイレを借りに来るようになる。

秋代は巴の知り合いを名乗る男について次男の嫁・月美に相談する。月美は巴と仲が良かったから月美から巴にことの真相を聴いてほしいと依頼した。巴は月美から話を聞いてそんな男は知らないと答える。夏川家は春好の二度の借金が原因で巴が生まれたときに購入した一戸建ての家を売って返済した。このことで長男との仲も疎遠になっていた。長男・優志は5つ年上の在日韓国人の梨花と一緒に暮らしている。春好は28歳で結婚し妻が流産したことで離婚したが本当は妻がギャンブルで背負った借金が原因で秋代と柊一が預金を取り崩して返済した。春好と月美の仲もうまくいかなくなっていた。やがて、巴の家に夕海が泊まり込み、梨花が押しかけ泊まり込み、月美とこども二人が押しかけ泊まり込むようになる。

家族丸ごと乗っ取り物語と思っていたら、そういう流れにはならず中村も夕海もただ食えなくなったので生きていたいだけと本音を漏らし、巴や秋代も夕海や中村が一緒に住むようになったことで気持ちが楽になったり、救われたと思うようになった。ひとは皆だまされ屋さんという物語でした。

うまくいっていない解体寸前の家族がいて、その家族の家に住み込んで家族の解体を防ぐひとがいる。


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