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読書を楽しむ「カーヤ・ノーデンゲン ”人間とは何か”はすべて脳が教えてくれる」

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脳の機能や脳と身体各部の関係を知るために

古代エジプトでは王が亡くなると、心臓は来世で復活のために丁寧に扱われたが、脳は捨てられていた。脳が人の生に不可欠だと認識されるまでには長い時間が掛かった。人類の祖先が二本足で歩いていた頃の脳の重さは400グラムだった。手と足が自由に使えるくらいだった。やがて石で火をおこし、狩りをするようになると脳の重さは1000グラムになった。人が考えるようになったことで脳の重さが1400グラムまでになった。人の脳は神経細胞の数が増えることで脳も大きくなり重くなったが人の身体の構造をみると極端に脳を巨大化することはできなかった。

脳の表面部分は大脳皮質と呼ばれ、前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉と左脳、右脳の各部に分類され、これが人類を知的な種にしている。出産のときの赤ん坊の脳は小さいため脳は未完成のままだから親に依存して完成していく。人は肉体的に不利な点を補うために道具をつくった。エジプトで石を使っていた人がピラミッドを建設できたのは人の脳内で創造する力が働き道具をつくったからとされる。大脳皮質内の神経細胞が多いのは生物の中では人間が一番で多く160億個あるらしい。脳内の様々な部位の神経細胞グループが連携し合い機能している。読むことも、話すことも、書くこともでき、記憶や嗅覚、聴覚、視覚などが機能している。神経細胞グループの一部が損傷すると、話すことや書くことができなくなる。加齢になっても同じことが言える。脳のおかげで人は進化し長生きもできるようになった。逆に脳が傷つくと仕事に就くこともできず、アルコール依存症などの病気になることもある。認知症や精神疾患も神経細胞が失われて起きている。人間の記憶容量に限界はないが取り出すのが難しいという仕組みになっている。何かを記憶するときには集中することが大事で多くの感覚を使うことがベスト。声を出して本を読むと視覚と聴覚の両方から情報が入ってくるというようなこと。脳に対してはやる気がないことでも我慢してやり抜くことが必要で先々でその成果が出ると考えられている。数週間から数年に及ぶストレス反応は有害です。人間の脳は他人との交流で成長するので、交流が不足すると成長に問題が生じる。そこには愛情と思いやりがないからです。刺激の多い環境では神経細胞間により多くの接合部ができ、大脳皮質は分厚くなり、これにより新たな神経細胞がつくられる。脳に影響を与える物質はすべて薬物とみなされる。アルコールやコーヒー。脳についての理解が少しでもできればという意味では勉強になる本だった。


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