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読書を楽しむ「前川 裕 愛しのシャロン」

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愛しのシャロンへ 

長い間、待たせてしまって、ゴメン

近いうちに迎えに行くからね

吉井百合は13年前、小学4年生だった。単調な一本道を帰宅するときに白いワゴン車に接触され前のめりに倒れ膝がしらを擦りむいた。ワゴン車から男が出てきて病院へ行こうと言われ車に乗り込み拉致された。男は自宅に監禁し女の子をシャロンと呼んだ。心の慰めになるという理由でぬいぐるみのテディべアをプレゼントされたが反吐が出そうなひどい生活を5年間強要された。男は母親とふたり暮らしで男は敷地内の離れに住んでいたが母親が息子が若い女性を離れに連れ込んでいると保健所に相談し発覚した。犯人は警察官で谷藤力という男だった。

百合は23歳になり池袋のアパートで声優養成学校時代の同級生・真優と真優の幼馴染の塁の3人で共同生活をしている。新宿にある男装ホストクラブで働いていた。真優はソープランドで働き、塁はピンサロで働いていた。アパートに不動眞一名義で百合宛てに宅配便が届き箱を開けたらテデイベアとメッセージが入っていた。メッセージには「愛しのシャロンへ」。送り主の住所に電話を入れたら住所と電話番号は実在したが氏名は架空人物だった。警視庁の春日という女性刑事が百合を訪問し谷藤が仮釈放になることを告げた。3人の共同生活も徐々にうまくいかず真優が家出をした。新宿署の生活安全課の警部補・新川の訪問を受けホストクラブが売春行為をしているという密告があり協力して欲しいと依頼される。世田谷の小学校のプールに切断された生首が浮かんでいた。死体は真優だった。塁もアパートから姿を消した。谷藤は肺がんで自宅で療養中だった。真優殺しの容疑者が駅のプラットホームから落ちて電車に轢かれ、ホストクラブの店長が自殺をした。

百合の身辺で奇怪な出来事が次から次と続いた。そして正体を現した不動眞一は百合に不幸なヤツが大嫌いだと言った。衝撃の結末が待ち受ける戦慄のサイコ・ミステリーはおそろしい。


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