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読書を楽しむ「平野俊彦 幸福の密室」

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幸せに憑かれた村のPR記事を新聞で目にした雨貝愛子は

自らが栃木県北部の寒村芳賀野村の移住推進課に勤務していて

都会から寒村に移住者を呼び込み、村の過疎化に歯止めを

かけるべく「入村者はみな必ず幸せになる」という噂の

長野県多幸村を訪れた

愛子は考えた。多幸村の村民の幸せは、幸せのふりをしていれば村から金が貰える、幸せを装うよう何者かに脅迫されている、村民が新興宗教の信者で信じ込まされている、村に多幸感を得られる植物やその成分を含む湧水が出ている、秘密の食べ物がある、ヤクザがドラッグを蔓延させている、特異な症状を呈する伝染病が村で流行っていると仮説を推理し、真偽を確かめるため多幸村の役場を訪問した。多幸村の移住推進課の課長は愛子の元上司で栃木の農業試験研究所で一緒に研究員として働いていた進藤二三代だった。進藤に愛子は自身の仮説を問い質したがそんなものはあるわけがないと一蹴された。愛子は村の旅館に泊まり女将に村人が幸せなのかを聞いたが明確な回答は得られなかった。村に移住しない限り幸福感は味わえないということと移住したことのない人でも移住すれば一週間でこの上ない幸福を感じると教えられた。村内を歩いて話を聞いても誰もがみんな幸せそうにしていた。村の村長や助役にも話を聞いたが何を訪ねてもらちが明かなかった。翌日、多幸村の溜め池で村の女子学生が微笑みを浮かべているように溺死した。旅館の女将から3ケ月前にも切り通しの崖の下でおじいさんがにっこり笑った顔で死んだと教えられる。村にカフェがあり愛子はそこで調査を行った。マスターは進藤の息子だった。ここのコーヒーを飲むとみんなが幸せな気分になれると聞いてきたと言ったら先客の老人が飲んだら天にも昇るような気分になると言った。多幸村に4日間いて幸福の秘密を聞き出そうとしたが期待した情報は得られなかった。4日目の朝、役場の進藤二三代が密室と化した役場の入り口のドアが施錠された事務室で殺されていた。愛子は栃木大学の恩師で自称「サイエンス探偵」教授・日向壱郎に助けを求めた。

読み始めるとなかなかおもしろい。サイエンスを題材にしたサスペンスはためにもなる。幸せの真相を知りたいひとは最後まで読むしかない。


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