読書を楽しむ「辻村深月 かがみの孤城」
学校に通えない、溶け込めない、うまくやれない
はみ出してしまう子がいる
はみ出してしまう子の気持ちがわかる
おせっかいおばさんいる
おばさんは学校でちゃんと勉強してから
これからどうするか決めなさいと言った
おばさんは学校へ行けない、行かない
こどもたちが通う塾を
フリースクールにした
こどもたちが抱える事情は
一人として同じじゃないから
その事情に寄り添う存在が必要だった
不登校と一口に言っても事情は一人一人違う。安西こころは雪科第五中学校の1年生。学校で女の子のグループに目を着けられ、無視されたり、陰口を言われたりした。5月、不登校になりフリースクールへ行くことになった初日にお腹が痛くなった。母親はスクールに休みの電話を入れた。こころの部屋に楕円形の鏡があった。鏡が突然光って手から体が鏡の中に吸い込まれていった。目の前にオオカミの面をつけた女の子が立っていた。後ろには立派な門構えの城があった。城には6人の先客がいて、こころが最後のひとりだった。狼面の少女が「今日から3月30日まで、この城の中に願いの部屋があるから鍵を探しひとりだけが扉を開けて願いを叶える権利がある」と言った。鍵が見つかって誰かが願いを叶えたら城は閉じられ鏡と城はつながらなくなる。城が開くのは毎日朝の9時から夕方5時までで、5時までに鏡を通って部屋に戻らなければ、狼に喰われる。第一部は「様子見の一学期」で7人の個人情報がちょっぴり公開される。第二部は「気づきの二学期」でひとりだけ学校の制服でお城にやってくる。第三部は「おわかれの三学期」で7人はお城の外の世界では会えないことを知る。大変によくできた物語です。読むことで話の世界に引き込まれ、先を追わずにいられなくなる。気を許せる友だちができたとき、ひとは強い思いやりの心が生まれる。そして、自分も困っているひとを助けてあげたいと思う。そんな気持ちから物語ができたような気がする。本をあまり読まないこどもたちに読ませたい本でもある。