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読書を楽しむ「楡周平 限界国家」

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この国の国民が20年、30年先の日本が

自分たちの子供や孫が

どんな社会で生きることになるのか

考えたことがあるか!

政界、財界に大きな影響力を持つ日本のフィクサー的存在の前嶋栄作が世界最大級のコンサルティング会社LAC日本支社を訪問した。携帯電話がスマホになっただけで家電メーカーの一事業部が消滅した。カメラ、録音機、ポータブルプレイヤーなどを研究開発し、マーケティング、製造に従事していた事業部が消える時代になった。20年先、30年先の日本という国に何が起きるのか、どんな姿になるのかを、日本が直面している少子化が招く人口減少を考え、20年後の生産人口がどれほどになるのかという視点で考察することを依頼した。

日本の人口は2040年から50年の間に1億人を割り込んで9700万人台に、さらに10年後には8600万人台になると人口動態調査から知ることができた。内需依存の経済が成り立つためには1億人の人口が必要であるにも関わらず、日本の経営者、政治家、官僚にその時に備える準備ができていない。それは重要ポストを占める人間の大半が高齢者であり、課題に取り組む気になっていない。

そして、ふたりのコンサルタントが動き出した。ひとりは津山百合43歳、ひとりは入社3年目の神部恒昭25歳。二人の任務は、20年後、30年後の日本の姿。その時この国がどんな社会になるのか、その間に国民は、企業はどんな備えが必要になるのかを考察すること。期限は半年。今という時代は、今現在絶好調な企業や産業が、新技術が現れた途端に廃れてしまうという時代。これにより日本の伝統、文化、風習がどう変わっていくのか、産業構造がどう変わっていくのか、国民の日常生活はどう変わっていくのか分析すること。ふたりは経験豊富な霞が関の元キャリア官僚をターゲットにして話を聞くことにした。

内需に依存することができないときが迫っている。そのときは海外に出ていかなければ生きていけない国になっている。高齢者の介護は誰がやるのか?国の税収が減少するため財源の確保はどうするのか?お先真っ暗な日本の未来を知るためにお勧めです。君たちはどう生きるのか?人口が減る、地方から工場が撤退する、地方で採用された従業員は、過疎化された町から職を求めて人口密集地に移動するしかない。どんな親の元で生まれたかで人生が決まってしまう。経営者は利益が出なければ給料を安く抑えることを考える。人手不足を移民でと考えても言葉の問題が立ちはだかる。日本語をしゃべる移民は多くいない。人口が減ることでマスコミ関係もコマーシャルが減少し、TV番組は経営が成り立たなくなる。そして、経営者は人手不足は機械でと考えるようになる。

暗い未来を明るくするためにどうすればいいかという問いを作者は読者に突き付けている。


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