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読書を楽しむ「簑輪諒 化かしもの 戦国謀将奇譚」

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比叡山延暦寺の僧・宮部善浄坊継潤は

戒律を無視して酒や女に溺れ

権力や権益の奪い合いに熱中する

高僧たちに失望し、山を降り

武将として生きる道を選んだ

継潤は北近江の浅井長政に招かれたが、そこは安住の地ではなく、武功を挙げても譜代の家臣でないため前線の防御程度でしかなかった。そんなとき使者に扮した秀吉が継潤を訪ね織田家に誘った。そのときの殺し文句が「九牛の一毛に過ぎない」と言った。浅井家に尽くして戦い抜き、死して勇を示したとしても、虫けらが野垂れ死ぬのと同じだと。その言葉は浅井家を寝返るには十分過ぎる理由だった。1581年、天下統一を目指す織田信長は秀吉に敵方の重要拠点である因幡鳥取城攻略を命じた。鳥取城主は秀吉の政略に降伏・臣従したが、重臣たちが反発し城主を追放し、毛利家から派遣された吉川経家を新城主にした。秀吉は兵糧攻めにしたが鳥取城は落ちる気配を見せなかった。秀吉は補給路の一角を占めている鳥取の支城、雁金山城を落とせと命じた。この城は鳥取城から1キロも離れていないため継潤が七、八百の手勢を率いて攻めても背後から鳥取城の数千の将兵に捻りつぶされるかもしれなかった。継潤は、この城を落とせば第一巧は当家のものぞ!銭や領地が欲しければ、己が腕と足で稼ぎだせと激を飛ばし、激戦の末、半日で雁金山城は落城した。(悪僧)


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