SSブログ

読書を楽しむ「長岡弘樹 球形の囁き」

DSC06515.JPG

冬の夜中や明け方に

いつもは聞こえない遠くの電車の音が耳に届く

上空より地面が冷えることで大気に温度差ができ

地上で発生した音が上空に抜けていこうとしても

地面に返ってきてしまうためらしい

デパート「バルーン杵坂店」の地下1階の冷凍食品用の小さな倉庫で売り場の女性スタッフ・高島晴美が遺体で発見された。被害者は独身でアパートでひとり暮らしだった。遺体は見回りの警備員が見つけた。殺された被害者は冷凍食品の箱にドライアイスを詰める仕事を一人でやっていた。凶器はドライアイスではないかということだった。店の女性スタッフが高島が男と口論している声を聞いていた。「あんたなんか消えて」。杵坂署の羽角刑事は後輩の黒木とデパートの4階の聞き込みを任された。4階にはスポーツ用品と紳士服、子供服売り場と託児ルームがあった。高島は保育士の資格を持っていて手の空いている時間に託児ルームで手伝いをしていた。託児ルームのドアが開いて青い色の球体(風船)が転がり出てきた。羽角刑事が風船をひろいあげた瞬間「おまえなんか消えちまえ」という男の声を聞いた。球体が喋ったと一瞬思ったがそんな馬鹿なと思い直した。託児ルームの中に入ると保育士の藪中陽翔がいた。高島のことを聞いて、藪中のアリバイを確認した。まわりに人がいないのに声や音が自分だけに聞こえるのが幻聴ではないかと羽角は自宅に戻り、大学生の娘・菜月に話した。幻聴が気になり羽角は生活安全課に保育士の藪中が子どもを虐待しているかも知れないからと調査を依頼した。風船が喋る仕組みがわかれば事件は解決というお話でした。