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読書を楽しむ「相場英雄 サドンデス」

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わがままなお金持ちが提案した

サドンデス(不慮の死)というゲーム

日本の経済が縮んでいくと

投資家は日本の企業への

投資を渋る

若手の実業家が海外へ出ていくためには

新たな資金が必要となった

その調達先は国外の超のつく個人のお金持ち

その中の何人かが

ゲームに勝ったら投資してもいいと

条件を出した

そして、サドンデスというゲームが始まった

ある日、知らない誰かに声をかけられたり、SNSにメッセージが届いたりして、内容が本人にとって超おいしい話だったら、ひとはそれを受け入れる。それがゲームのはじまり。生活がどん底の人間は、人並みの生活に戻れるならゲームを受け入れてしまう。

理子の人生が狂い始めたのは理子が16歳のときだった。建設会社に勤める父の度重なる母へのDVとモラハラに嫌気が差し、離婚が成立し、賃貸マンションを見つけ二人の生活が始まった。父からは慰謝料と養育費が月々12万円1年前までは振り込まれていた。父の会社が談合の疑いで刑事告発され父は会社をクビになった。母は食品卸会社に正社員で勤め、終業後に清掃やパートの仕事を掛け持ちし、理子はアルバイトをはじめ、ふたりで生活費の不足分を稼いだが新型コロナウィルスのバンデミックで職を失った。母はうつ病を発症した。大学生の理子が一家の大黒柱として生活を支えなければならなくなった。大学の近くの弁当屋でアルバイトをしていたがお金が足りず、ガールズバーで働くようになった。あるときバーに芸能や出版関係向きに人を手配している井澤という男とモデル事務所の講師をしている女性・ミカコが客として来店しミカコが理子に囁いた「もっと条件の良い場所で働いた方がよくない?」と。理子はその女性の誘いで会員制のラウンジで働くことを勧められた。月50万は稼げると言われた。大学は休学した。そのラウンジで健康食品通販会社の経営者・唐木から「僕と仲間たちでゲームを始めている。君も参加する?」と誘われ参加することにした。人材派遣会社の社長・高畑が来店し会社の広告にモデルとして出てくれと依頼される。契約金額は1000万円。その1000万円を高畑が仲間と出資してつくる新しい事業に投資してみないかと誘う。そして、理子は京都の祇園で会員制のラウンジ・紫蘭をオープンさせママに成り上がっていった。

老舗百貨店のバイヤー小島は大阪でナンバーワンのバイヤーが移ってきてから仕事のストレスで病気になり休暇をとった後で出社したらリストラ余剰人間が集まる部署へ異動させられた。妻とは離婚し、年老いた母親とふたり暮らしになつた。SNSで「こんな会社、木っ端微塵にしてやる」と投稿した。小島はリストラされた。

フリーのジャーナリスト・石森が東京駅の新幹線の改札付近で無差別殺傷事件を起こした。仕事と金が途切れ、自暴自棄になっていた。石森は誰でもいいと言いながらターゲットを選んでいた。

小島は理子のフォトグラムを開き、彼女がガールズバーで客寄せしていたことを知っていた。

渋谷駅前ではガソリンテロが起きてモデルの女性が火だるまになった。犯人は自称フリーターの46歳の男・佐野だった。

警察のサイバー犯罪対策課は、石森と佐野について、彼らふたりを業界の若手実業家・唐木と高畑がフォロアーしていたことに疑問を持っていた。

表参道交差点付近で無差別殺傷事件が発生した。犯人は自称派遣労働者の永島栄五53歳だった。永島は理子の母と娘を捨てた父親だった。匿名の掲示板では祇園の美人ママは殺人鬼の娘とスレッドが立っていた。

やがて、社会の底辺にまで落ち込んだ小島の理子への嫉妬心はやがて殺意に変わっていった。

ひとを操ることをする輩が現れた。成り上がり組と落伍者組。成り上がり組は成り上がったところで落伍者組に殺される。それがサドンレスというゲーム。いいように扱われ、いいように突然、奈落の底へ落とされる。闇バイトも同じようなゲームかも知れない。おいしい話には気をつけろというお話でした。ひとはコツコツ働くしかない。


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