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読書を楽しむ「夏川草介 君を守ろうとする猫の話」

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幸崎ナナミは十三歳の中学二年生

喘息の持病があるため

あちこち遊びに出かけるわけにもいかず

学校が終わるとひとりで図書館に

足を運ぶ生活を送っている

その図書館で、最近本がなくなっているらしい

館内の探索を始めたナナミは

青白く輝いている書棚の前で

翡翠色の目をした猫と出会う

(小学館書籍の内容より抜粋)

最初に気づいたのは、ずらりと並んだ書棚のところどころに隙間ができていた。その隙間がいつまでたっても隙間のままであることにナナミは気がついた。幼馴染の今村イツカに本がなくなっていることを話してもナナミほど気にしていなかった。ナナミの家は父子家庭だった。ある日の図書館が閉館間地の時間に書棚の前に灰色のスーツを着た男がいた。この人物が図書館に現れたあと、本がなくなっていることにナナミは気づいていた。男は「ルパン全集」を勝手に持ち出した。男の後をつけて行ったら通路の奥がやわらかな青白い光に包まれていた。そのとき背後から「やめたまえ、近づかぬ方がよい」と声が聞こえた。振り向くとどっしりとした体格のトラネコがいた。普通の人間は猫が喋っただけで逃げ出すものだがナナミは逃げなかった。そして、ナナミと猫の本を取り戻す旅がはじまった。やがて青白い本棚の通路が、ゆっくりと白い光に包まれ出した。ふたりは轍が刻まれた土の道に立っていた。その先に石造りの建造物が鎮座していた。それは城だった。映画「ナルニア国物語」のような展開でファンタジーな物語になっている。これは本の物語である。本は困っている人がいたら手を差し伸べ、悩んでいる人がいれば耳を傾け、お金より大事なものがあること。そういった理屈では説明できないことを教えてくれる。ところが昔は当たり前だったことも、今は当たり前じゃなくなっている。多くの人はそんなことを忘れている。というお話。本を読む人が少なくなり、本屋さんも街から消えていく昨今、本を読まない人が増えていることを憂いている。


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