読書を楽しむ「さだまさし はかぼんさん 空蝉風土記」
京都の旧家に伝わる儀式の紹介物語 大店で跡継ぎになる長男が結婚して、はじめての子供が生まれる前 お腹の子が八ケ月目から九ケ月目の戌の日に行われる儀式。 その日、夫婦は朝食を取らないで正装して高瀬川沿いの柳の木の下へ行って 「はかぼんさん」を待つ。 夫婦が家を出る時に、同時に家のお墓へ向かって当事者に一番近い血縁者で 十六歳未満の男子が白衣白袴姿で使者となり走る。 この少年は墓所に眠るご先祖へ、跡継ぎが生まれるかも知れないと報告に行く。 そして、生まれて来る子が男の子であれば、やがてはそのお墓に入るので 場所を空けておいてくださいとお伺いをする。 使者は半刻身動きしないで白扇を墓の前で開き、般若心経を唱え、なにごとも なければ、そのまま夫婦の待つ高瀬川の柳まで走り、白扇を手渡す。 なにごともなかったということで許可がおりたということになる。 この契りの儀式を「はかぼんさん」と呼んでいる。 何事も知らないことを学び知ると言うことは楽しいものです。