読書を楽しむ「安壇美緒 天龍院亜希子の日記」
人材派遣会社に勤める田町譲・27歳 早友里という同じ年の彼女がいる。 3年と少し付き合っているが将来を誓う感じではなかった。 譲は、そこそこ見た目はいいビルに入っているが職場は見掛け倒しで従業員の 労働環境は良くなかった。 残業が多いが賃金はスズメの涙ほどしか出ず、人は不足し、毎晩11時半過ぎに 退社し疲れも溜まっていた。 小学生の頃、やばい苗字の地味な女の子を泣かした 女の子の名は天龍院亜希子 時が変わり亜希子と再会を果たしたのは今年の春のことだった Googleで「鳥居・板橋・14年前・タイムカプセル」と検索をかけたら 「板橋の日」という日記が出てきた。 投稿者は、akktnryn(亜希子・天龍院)直感的に亜希子だと思った。 日記に書かれている亜希子の見ている世界は穏やかだった。 昔の知り合いは毎日を楽しく満足して生きていた。 大昔にいじめた女の子が幸せそうで何故か救われた気がした。 譲は定期的に亜希子の日記を読むようになった。 自分が本当につらくて、どうしょうもない時に、この世の誰かがどこかで ひそかに自分を応援してくれていたら呆れた希望をもつことができ、 生きるのが少し楽になるかも知れない。 平凡な男のブラックな日常生活を勇気づけたのは元同級生の日記だった。 そもそもひとに見せることを目的としない日記であっても、日記を見ていて くれるひとがいればうれしくなる。