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読書を楽しむ「中島 要 ないたカラス」

017.JPG                                      江戸の北端、小塚原の近くに築安寺という寺がある                                    寺には和尚と寺男の弥吉が住んでいる                                     和尚は傍目には42歳を超えていそうに見えるが、本当の歳は28で名は三太という。                          三太と弥吉は子供の頃、浅草新鳥越町に住んでいた。                                     弥吉は魚屋の倅で、三太は長屋の住人だった。                                          二人は仲良しだったが弥吉は継母にひどい扱いを受け12の暮に家を飛び出した。                                 弥吉が15年ぶりに江戸に戻り、突然物乞いのような男に声をかけられた。                                         それが三太だった。                                                       三太から弥吉の魚屋も長屋も15年前の火事で全焼し、家族も亡くなったと知らされる。                         ふたりは無住の荒れ寺築安寺に住みついて弥吉は、三太の頭を丸めてにせ坊主に仕立て、                                     自分は寺男となった。                                                    弥吉は商家などの屋敷に忍び込み、先祖の位牌を隠し、屋敷の者が位牌を捜している                              ところへ三太が顔を出して「位牌が消えたのは家に住む者の信心が足りぬからだ」と                                 言って脅すと多少の金を包んで寄越した。                               何度か繰り返したら「築安寺の和尚は千里眼だ」という噂がたった。                    噂を聞きつけて駆け出しの噺家が頼みごとにきた。                                          師匠の娘と一緒に暮らすことになっていたが亡くなった師匠が書いた文を                     読んだ途端「一緒になれない」と言われた。なんとかしてくれという頼みだった。                 文には「おれのほれてる女のことは、しまのに行ってきいてくれ」と書かれていた。                しまのは師匠が行きつけの飲み屋で女郎上がりの女将がいた。                               和尚は娘に父親の浮気の証を、逆に母親への恋文だと説いて願いを叶えてやった。                   文に書かれている「しまの」の「し」の字は本当は「く」の字だと言って「くまの」                   にして熊野権現にはお使いの八咫烏がいてカァカァと鳴く。わかるかなぁ。


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