読書を楽しむ「多和田葉子 海に落とした名前」
飛行機の不時着事故とともに記憶と名前を失った女性は誰だ! 冒頭は飛行機の中で救命用チョッキの話が出てくる。やがて海に降りて ボートで岸まで運ばれる。 健康状態が確認された後、特別入国審査があり書類に住所や名前を書こうと したときに頭の中がからっぽになっていることに気づいた。 病院で医者からニューヨークのケネディ空港から成田に飛ぶ路線に乗っていたと 告げられるが何も思い出さない。3日を経過しても家族からも連絡はなかった。 唯一の手掛かりはポケットにいっぱいレシートが入っていた。 医者も困り果てニューヨークに住んでいた甥を役に立つかもしれないと連れてきた。 甥は、レシート1枚1枚をみながら解説をした。 自然食品の店や美術館にあるカフェ、ブティックなどのレシートだった。 途中から姪も応援に駆け付けた。ハーレムにある劇場のレシートもあった。 甥は彼女に「タマラ」という名を仮につけた。 甥に言われて写真を撮り、尋ね人広告をインターネットのサイトに出すことにした。 航空会社からの見舞金で病院の個室に入院できたがお金も底をついて姪の マンションへ引越した。 彼女はある時、思いついた。 飛行機事故があれば乗客名簿があるはずだが医者も甥も姪も何も言わない。 医者はわたしをみんなの目から隠すために引き取ったのかも知れないと。 それはわたしの記憶が断片的に戻ったらなにかの事件の全貌が明らかになり 世間に知られては困るからだと思った。記憶のない女に医者と甥と姪。 謎が謎を呼びと思いきや結末はびっくりポンでした。