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読書を楽しむ「桜木柴乃 光まで5分」

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月夜に生まれたからツキヨ

北海道の東の端っこの方にある港町の出身

15の年から暖かいところへ南へ流れていくうちに

沖縄本島の那覇の小路の「竜宮城」で働いている

竜宮城を紹介したのはりんりん食堂のパパさん

そして竜宮城のママに拾われ小路の女になって

ツキヨは38歳になっていた   

この世には居場所を移動させながら流れてゆく女と、その場から一歩も動かずに心を流してゆく女がいる  

竜宮城には部屋が5つあり、女たちは客を取っていた。朝から奥歯が痛くて店に来た50男に話したら、国際通りから小路に入った少し奥に金も保険証もない患者でも診てくれる闇医者がいると教えられ出かける。店内はバーの間取りで部屋の奥にベッドがあり白いTシャツの男が青年にタトゥーを彫っていた。彫師は万次郎といい本物の歯医者だと青年が言った。青年の名はヒロキ。診察を受けたら口の中が不衛生だった。万次郎はヒロキの背中にモナ・リザを彫っていた。店の名は元ショットバーで今はタトゥーハウス「暗い日曜日」。万次郎が1階で暮らし、ヒロキが2階で子猫と暮らしていた。ツキヨもこんなところで暮らせたらいいなと言ったらヒロキがいいよと言った。竜宮城に戻り仕事に飽きたからやめると言ってバックに荷物を詰めて外へ出たときに男に声をかけられた。闇医者を紹介してくれた男で南原と名乗った。南原は「暗い日曜日」のオーナーだった。生活費として南原は3人分と言って10万円をツキヨに渡した。万次郎は東京から南原が島に連れてきたことをヒロキから聞く。ヒロキも20年前、南原に拾われたこどもだった。南原は嘘と脅しであちこちから金を巻き上げて暮らしている男だった。本人は人助けだと言っている。

ツキヨは「暗い日曜日」を初めて訪ねた日を思い出した。ヒロキがあの日見せてくれたのはまばゆいばかりで姿のない光だった。5分で届くという光まで、ひとはいったいどれだけ歩かねばならないだろう。


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