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読書を楽しむ「カレン・ラッセル レモン畑の吸血鬼」

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レモン畑でベンチに座り、レモンの落下を眺めている老人がいる

この老人が吸血鬼だとは誰も思わない 

クライドとマグリブは長年に渡りリンゴを試し、ゴムボールを試し、世界の至る所で暮らし、この世に存在しないかもしれない飲み物を探し回って過ごした。そして、ソレントで注文したレモネードのピッチャーは曇っていて、なかになにか混じっていてそれが小さなレモンだった。レモンが吸血鬼の鎮痛剤になった。レモン畑では夏に十代の女の子フィーラが畑の裏で露店を切り盛りして、ベンチの下にこっそりレモンを入れてくれる。彼女は老人が怪物であることに気づいている。クライドは青年期に血を飲んでいた。マグリブとの最初のデートはハバナのコロン墓地だった。そこでマグリブに血に何の効果もないことを知らされ、血を飲まないなら牙は何のためにあるのだと疑問を抱いた。西オーストラリアに住居用の土の穴蔵を見つけ、それ以降、30年間吸血鬼にしてはすこぶる平穏な人生を送っていたが、ある日、マグリブは予告なしに疲れたと言って飛んで行ってしまった。永遠に死ぬことがない吸血鬼夫婦が倦怠期に直面したらどうなるのだろうか?なんともおかしな話だ。


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