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読書を楽しむ「2030未来への分岐点Ⅱ」

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ゲノム編集、AI兵器……テクノロジーの暴走は止められるのか?


ゲノムとは生命の特徴や機能を細胞レベルで決める人体の設計図で4つの塩基と呼ばれる物質の配列から成り立っている。人為的に生物のかたちや特性をつくり変えるにはゲノムの狙った場所を操作する必要があり、塩基配列は何十億にも及んでいたがアメリカとスウェーデンの教授が「クリスパー・キャス9」と呼ばれるゲノム編集の新技術を開発した。新技術を応用することで人間がゲノムを思い通りに書き換えることが可能になった。


ゲノム編集の応用が特に期待されたのが農業と医療だった。中国では新型コロナ対策用にマウスに人間の遺伝子の一部を組み込ませ新型コロナウイルスを感染させさまざまな感染実験を行った。遺伝性疾患を生まれてくる新生児に対しゲノム編集で病気の治療が可能と考えられた。人間が生命の遺伝子を操作することはそこまで許される範囲で、どこからが許されない範囲なのか。その線引きはだれが行うのか問いかけられている。人のゲノム編集で人間改造はどこまで許されるのか。テクノロジーはひたすら先へ先へと進んでいるが、何のために進化させているのか、その技術でどこへ向かおうとしているのか、わからない危うさを持っている。テクノロジーによって人類がどう変わってしまうのかをテーマにしたイギリスの作家の「すばらしい新世界」では人間が工場で製造されるという内容だった。


AIを搭載した自爆ドローンが開発され、スマートフォンを使うと標的になる可能性がある。国連では自立型致死兵器システムについて規制の議論が始まっている。21世紀型の戦争は関係国に大きな犠牲が出ないように非軍事的手段(サイバー攻撃)が大きな役割を果たす。人間同様に物事を理解し、課題を解決する人工知能が、人類を圧倒的に上回る超絶知能AIとして出現し研究や開発をした場合、人類はAIを制御できるかという課題にぶち当たるがAIを管理できる準備が間に合わないかも知れない。人類の生存に関わるさまざまなリスクの多くは世界規模の協調が必要だが、現実は国際的な無秩序が続いている。テクノロジーの進化が正しく実行できればさまざまな問題の解決策になるが・・・。人間中心の視点から世界の未来を考える必要がある。



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