SSブログ

読書を楽しむ「川瀬七瀬 クローゼットファイル 仕立屋探偵 桐ケ谷京介」

DSC04317.JPG

東京の高円寺南商店街で

小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介は

美術解剖学と服飾の深い知識で

服を見ればその人の受けた暴力や病気などまでわかる

特殊な能力を身につけていた

京介の相棒は26歳で商店街にあるヴィンテージショップの雇われ店長で、その筋では目利きで有名。ゲーム実況者としても名を馳せている水森小春。杉並署の南雲隆史警部に見込まれたふたりは、警察の協力者になり、事件にかかわっていくというシリーズ第2弾の短編ストーリー6編。

南雲警部が持ち込んだ未解決事件は12年前にある男を監視したあと警察署に戻ったら警察の裏道にカゴが置かれていて中にタオルにくるまれた赤ん坊がいた。乳児の推定月齢は生後3ケ月か4ケ月だった。赤ん坊は乳児院に預けられ、その後児童養護施設で生活している。両親とも名乗り出ていない。警部はクマらしき手作りのおもちゃを京介に渡した。ひと針ひと針丁寧に縫ったおもちゃだった。赤ん坊は12歳の少年に成長し警部に母親を捜して欲しいと頼んだ。警部は赤ん坊が捨てられていた時に身に着けていた水色のTシャツを京介に見せ、そしてTシャツの縫製から蝋引きされた糸で縫ったこと、針は高性能の工業用ミシンが使用されていることを解明した。蝋引きされた糸は主にレーザークラフトに使われ、杉並のレーザー縫製工場が内職の委託先にミシンや縫製用具一式を貸し出しているところまで突き止めた。そして母親が探し出された。(ゆりかごの行方)

15年前に起きた杉並区松ノ木住宅内殺人事件の捜査協力を依頼された京介と小春。独身で一人暮らしの65歳の女性・木村牧子が首を絞められ殺された。ガイ者はいくつもの習い事やサークルに通っていて携帯のアドレス帳には780件もの友人知人名が保管されていた。結婚式場に37年間勤務して退職していた。現場から出たブツの多くは指紋や毛髪で、変わったところでは一摘み程度の灰が遺体の発見された茶の間から見つかった。遺体が発見された11日前に木村宅から飛び出してきた女を向かいの主婦が目撃していた。女が国道の方向へ行ったという証言から防犯カメラの映像を確認して京介はこの人物が女性ではなく男性だと断定した。そして事件の根底は「色」ですと言い切った。(緑色の誘惑)

小春のマンションのベランダの洗濯物の中に男物のトランクスを干してあった。トランクスは80年代に米軍で配られていたものだった。そして下着の形から犯人を追いつめて行った。(ルーティンの痕跡)

新しいジャンルの探偵ものは好きです。本を読むということはこういうところからも知識の幅が広がる。


共通テーマ: