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読書を楽しむ「柊 サナカ 天国からの宅配便」

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依頼人の死後に届けものをするサービス

「天国宅配便」

事務所はレトロなビルの2階にある

扉には白い羽のマークがあり

社長と社員ひとりの会社

ひとり暮らしの老婆・新垣夕子は足の踏み場もないくらいのゴミの中で暮らしていた。近所のこどもたちは呪いの家とか祟りハウスと呼んでいた。その家は新垣と明神と渡部の女性3人が共同で購入した家だった。明神と渡部が亡くなり1年近く経過していた。その家に耳慣れない宅配業者が天国宅配便ですと名乗り、荷物のお届けに参りましたと告げた。送り主は明神さんと渡部さんからと伝票を見せられる。配達人は若い娘で名札には七星とあった。そして、天国宅配便は、ご依頼人の遺品を、しかるべき方のところへお渡しするという仕事をしていると話す。ふたりが存命のうちに依頼されたことだった。亡くなったひとりは歯科医の旦那と熟年離婚し、ひとりはマンションの建て替えで済むところを失い、独り身の女が3人で家を購入した。しかし、一人は入院先の病院で息を引き取り、ひとりは持病を隠していて亡くなった。宅配便の中身はカセットレコーダーとテープだった。ピアノの音が流れシューベルトの鱒を3人がコーラス部の時に録音したものだった。そして、この歌についての思い出を新垣が語り始める。(わたしたちの小さなお家)

祖母と喧嘩別れした女子高生(オセロの女王)、幼馴染みと結ばれなかった中年男(午後10時のかくれんぼ)、顧問の先生を喪った部活仲間(最後の加害授業)、そして、エピローグは七星のエピソードが語られる。七星も母親との関係がうまくいっていなかった。生前から準備していた最後の贈り物を大切な人へ届けてくれる宅配サービスに関心があるひとにお勧めです。


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