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読書を楽しむ「多島美智子 87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし」

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長崎で生まれ、被爆して、27歳で結婚

夫の会社が倒産し、神奈川の会社に転職し

賃貸の団地に家族で住んで

以来55年、こどもたちは巣立ち、夫も先立ち

エレベーターのない4階の3DKで暮らしている

夫は妻が79歳のときに88歳で大動脈瘤亡くなり、お葬式は自宅で祭壇なしの坊さんなしの戒名なしの家族葬を22万円で済ました。お墓は長男がないと兄弟の縁が薄れると言って、こどもたちがお墓参りできる海の見える、山の上の霊園を選んだ。お墓参りはこどもたちが車で連れて行っている。

ひとり暮らし歴7年。部屋の模様替え、針仕事、編み物、料理、読書をして家の中に自分の世界をつくり暮らしている。週に1回お金のかからないNPO法人主催の習い事の絵手紙、写経、麻雀、着物のリフォームの集まりに参加している。1日1000円で参加できる。ほかに市民センターで開催される歌の教室にも参加している。その場その場で人と話をすることで気分転換をしている。

85歳の時に中学生の孫とYouTubeを始めた。絵手紙や水彩画などの作品を映像に残して、自分が死んだ後に思い出して見て欲しいという趣旨からだった。始めたころは親族しか見てくれなかったが、部屋の紹介の動画が160万回以上再生された。絵手紙でカレンダーをつくり閲覧者にクリスマスプレゼントをしたりもしている。

著者の一番の幸せは寝ているときで、年齢に関しては、できないことが増えるのは仕方がないと心得ていて、そういうときはまだできることを楽しめばいいと考えている。

著者は終の棲家をこの団地だと考えているが認知症になり自分で判断できなくなったらこどもたちに任せると考えている。

65歳の時に1年間通学したら調理師免許が取得できる専門学校に通い見事取得した。卒業後に居酒屋で週末だけ調理担当をしたり、高齢者が集まるコミニティでお昼のご飯をつくるボランティアを週1回した。70歳で道で転んで肩を痛めボランティアは卒業した。

ほかにも食事のこと、食事は器で楽しむこと、料理は簡単に、混ぜるだけ、漬けるだけ、夜の晩酌のこと、ベランダ菜園、1日のタイムスケジュール、朝のラジオ体操、ウォーキング、なんでもメモをとる習慣、狭い部屋を居心地よくするためにインテリアを考えること、道端の草花を窓辺に飾ること、読書で時間をつぶせること、インターネットに接続できるスマートTVのこと、iPadを使いこなして写真管理をしていること、80歳でピアスの穴をあけたこと、10年日記をつけていること、人づきあいは深入りせずにあったときに楽しい時間を過ごしている、行きたいところにはひとりで行く、家計簿は65年間つけていることなどが実体験として書かれている。

結局のことろ著者は長生きしているので人生はどうにかなるものということを知っている。だからクヨクヨ悩まないで今を楽しみたいと結んでいる。


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