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読書を楽しむ「三本雅彦 運び屋 円十郎」

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運び屋

それは託された荷物を

指示された場所へ運ぶのが商売

運びの掟は3つ

・中身を見ぬこと

・相手を探らぬこと

・刻と場所を違えぬこと

運び屋の仕事の格は松・竹・梅に分けられる。報酬と危険度は格に応じていた。柳瀬円十郎の先祖は小田原北条家の忍びだった。家伝の柳雪流躰術で父親・半兵衛は小さな道場を構えたが道場の経営は苦しく3年で閉めることになった。借金まみれの半兵衛と円十郎を船宿・あけぼの主・日出助が拾ってくれた。日出助の表の顔は船宿の主で、裏では江戸の闇社会で運び屋の元締めをしていた。円十郎が恩と借金を返したくて運び屋になった。

日出助からの新しい仕事は松に近い竹の格の仕事だった。根津権現の立木の虚。玉池稲荷の祠の裏に丑三つまでに運ぶ仕事だったが根津権現で呼び止められ、男たちに囲まれた。男たちは「水戸のーこの国のために、荷を返せ」と叫んだ。円十郎は走って逃げ玉池稲荷近くの橋まで来た時に今度は黒ずくめの恰好をした男たちに囲まれた。そのとき近隣の家の者たちが何事かと動き出し、黒ずくめの男たちが姿を消したので無事に玉池稲荷の祠の裏に荷物を置くことができた。一体何が起きているのか?円十郎は知らず知らずのうちに時代の大きな渦に巻き込まれていく……。

本というものはおもしろいもので読めば読むほど新しいネタが物語として描かれている。この物語でも運び屋がいれば引取屋がいることを知り、なかなか楽しい流れになっている。幕末時代劇小説お勧めです。


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