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読書を楽しむ「柄刀 一 或るスペイン岬の謎」

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和歌山県、紀伊半島の南端の海岸線は

スペイン岬と呼ばれていた

南美希風とエリザベス・キッドリッジは

スパニッシュスタイルの滝沢邸を訪問した

滝沢家とキッドリッジ家はニュージャージー州で近所付き合いをしていた。滝沢家が住まいを日本に移してからも親交は続いていた。滝沢家には当主の厚司、スペイン人の妻・アリシア、息子の生、妹の葵、アリシアの娘・秋実が住んでいた。アリシアは日本人男性とスペインで暮らしていたが、日本に居を移してから夫を交通事故で亡くし、2年前に厚司と再婚した。厚司の妻は6年前に病死していた。前妻の弟・小塚原安一も居候でいた。滝沢葵は4年前に離婚した出戻りだった。南とエリザベスは臓器移植を通じての知り合いだった。ふたりが訪れたのはスペイン岬の巨大人形火祭りを楽しむためだった。

南は厚司から去年、2件の放火事件の話を聞いた。1件は隣町の赤木家が被害に遭った。2件目は葵が所有していたアパートに火がつけられた。犯人は高校3年生の秋実で担任の女教師にいじめられ、教師が住んでいたアパートに火をつけたと自供した。赤木家は空き家が燃えただけだった。秋実は自首して、家裁で審判され、保護観察処分になったが観察期間が終わり、今は通信教育を受けながら家事見習いをしている。

その秋実が1年前の火祭りの翌日に滝沢家の裏手で何者かの襲撃を受けたが事件は未解決だった。頭部に傷害を負って、その時の記憶が失われていた。秋実はこのとき一糸も身に着けていなかった。その服は玄関ホールの隅で発見された。

滝沢家には小さいお家というヴィラがあり秋実はそこに一人でいた。その姿の後ろに人影が出現し秋実が襲われたのを南とエリザベスが目撃した。建物すべてに鍵がかかっていた。窓ガラスを割って中に入ったら秋実が倒れていた。ふたりが目撃した不審者は錠もあけずに建物の中から姿を消していた。

翌日、朝食の時間に小塚原が顔を見せなかった。小塚原の靴跡を見つけたが、その靴跡はスペイン岬の一部である断崖へ通じていた。厚司が警察へ通報した。遺体は漁船が発見した。

小塚原を葬った犯人、去年、秋実を殺しかけた犯人、そしてヴィラの密室の謎。心臓移植経験者である南美希風は、その移植手術を執刀した恩人の娘であるエリザベス・キッドリッジの長期休暇に合わせて日本中を旅してスペイン岬で不可能犯罪に巻き込まれた。南は「この事件は私が解きます。もう被害を出さないように」と言った。真相は本を読んでのお楽しみ。


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