SSブログ

読書を楽しむ「麻宮 好 月のうらがわ」

DSC06834.JPG

深川の新兵衛長屋に住む大工の一家は

父直次郎、娘綾、息子正太の3人暮らし

3年前に母親を亡くしていた

同じ長屋には直次郎の明輩重蔵一家がいた

重蔵、女房おつな、娘おはるの3人暮らし

直次郎の隣に坂崎清之助という写本を

生業とする侍が越してきた

新兵衛の孫娘・お美代が店賃を滞納している重蔵の家に催促に来て、直次郎がひと月分立て替えた。重蔵は2年前に怪我をして右半身が利かなく働いていなかった。坂崎は文机の下に薄い冊子を置いていたそれが綾の目に留まった。冊子の表題は「つきのうらがわ」と書かれていた。内容は、「子どもが月に行きたいといい、おとうがなぜ月に行きたいか聞き、月におっかあがいるからという。おとうは月には行けんというと、子どもはおっかあはどうやって月へいったんだという。」坂崎は祖母から、幼い頃に亡くなった人は月の裏側へ行くと教えられていたが物語の子どもをどうやって月の裏側へ行かせたらいいかわからないで続きを書いていなかった。その時、綾が坂崎に「あたしに続きを考えさせてくれませんか」とお願いした。

重蔵が直次郎に三両の金の無心にきて断られ夫婦は長屋の梁で首を括って死んだ。重蔵は博打にうつつを抜かし借金まみれだった。おはるは叔母の家に連れていかれ吉原へ売られそうになり、長屋へ戻ってきた。

坂崎の過去にも息子が池に落ちて亡くなり、妻を叱責したことで妻が懐剣で喉を突いて亡くなっていた。「つきのうらがわ」は坂崎の妻が書いた物語だった。

大事な人の死をどう受け入れるのか?亡き人と共に生きる道。この物語は生きるために亡き人を思って泣き暮らしてはいけない。ぐずぐずいつまでも悔やんでいてはいけない。毎日明るく生きなければ生きているとは言えない。そういうことを言っている。



共通テーマ: