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読書を楽しむ「柴崎友香 続きと始まり」

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2020年3月から2022年2月まで

別々の場所で暮らす男女三人の日常


石原優子は衣料雑貨会社で

事務と倉庫作業のパートで働いている

実家は大阪で大学の飲み会で知り合った直也と結婚し、夫の地元・滋賀で一戸建てを買って、一男一女と暮らしている。コロナ禍では夫の実家で両親にこどもの面倒をみてもらっている。東日本大震災の時、優子と妹の真鈴は東京にいて優子はデザイン事務所に就職できたが3年間働いて上司にこの仕事はあなたに向いてないと言われた。大地震の前日に母方の祖母が急死して翌日お通夜に行こうとしたら地震が起きた。阪神で地震が起きた時、優子は中学1年生だった。優子は今の生活について恵まれていると思っている。2022年の1月に社長から事業を売却するという報告と会社を辞めると言う報告があった。小学校で感染者が出て夫が自主的にホテル生活をすると言い出した。優子は自分が全部家のことなどをしなければならないことに文句を言った。

小坂圭太郎は居酒屋で働いていた時

客の貴美子と知り合い

出来ちゃった婚で一緒に暮らしている

圭太郎は東京で緊急事態宣言が解除され、また居酒屋で働けるようになった。貴美子は中古マンションのリノベーションを手掛ける会社に勤務し、週に2.3日リモートワークしている。こどもは圭太郎が面倒をみている。2011年3月11日のときは、イタリアンのお店で仕込みの仕事をして時に地震に遭遇した。圭太郎は両親と折り合いが悪く、貴美子は。両親と25年くらい会っていなかった。東京都からの時短要請で居酒屋の店主が店を閉めると圭太郎に言った。圭太郎は南欧系の創作料理の店に勤め始めた。女性向けカルチャー誌が沿線の散歩企画の取材でお店に来た。写真家をどこかで見たような気がした。東京オリンピックの期間中に圭太郎は貴美子から離婚しない?と言われた。圭太郎の両親が原因だった。年末に離婚届を出して、貴美子は旧姓に戻り、こどもは夫の姓のままで、親権は貴美子が持ち、家族としての生活はこれまで通りだった。貴美子は仕事で関西へ出張に出た。三宮から電話があり、ここで大きな地震があったということが自分の目には見えないと言った。

柳本れいは写真家として写真スタジオ

「葉子さんの家」で働いている

ふたりとも離婚経験者だった

れいは東京のパチンコ店や飲食店で働いたお金で写真の専門学校を卒業し広告制作会社の写真スタジオにアシスタントとして入り27歳で辞めた。結婚式場で宣伝写真の仕事をしていた時にヘアメイクの担当だった葉子さんと知り合い、写真館をやるので手伝ってと言われ今に至っている。コロナでマスクをしていると街は9年前の地震ときと同じような雰囲気になっていると感じていた。れいはいつかのニュースや出来事は今のことにつながっていて、いつかの出来事はもっと前の別のことにつながっていると長い時間が経ってからようやくわかった。地震があり、事件があり、テロがあり、戦争がはじまっても画面越しに遠く離れた場所で情報を見ているだけ。2022年2月ウクライナで戦争がはじまった。


新宿御苑の近くのカフェで行われるトークイベントにれいは撮影担当として来ていた。そこには演劇のポスター写真の撮影で知り合った優子の妹・真鈴がいてイベントの進行を説明した。カフェには2日間だけアルバイトをしている圭太郎がいてコーヒーを運んでいた。イベントには優子も妹に誘われ来ていた。

10年前のことは、20年前から見れば10年後で、現在は10年後から見れば10年前で、今は未来でもあるし、過去でもある。

地震が収束しても、後片付けをしなければならないし、後片付けをしてしまうと新しいことがはじまるが記憶のどこかに残っていて、またどこかで地震が起きるとふと思い出す。何かが始まってそれが続いていく、何かが続いているなかでまた新たな何かが始まる。そんな風に日常が続いていくというお話。


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