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読書を楽しむ「相場英雄 ゼロ打ち」

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ゼロ打ちとは

選挙の開票特番などで、開票開始直後

開票率0パーセントに近い時点で

特定の候補者の当選確実を報じること

通常国会閉幕前に首相が解散宣言をした。大手の大和新聞社に勤務して12年目の社会部遊軍班記者・片山芽衣に突然の辞令が下った。販売部数の激減や広告収入の減少に大和新聞は経営改革の好機と判断し、開票速報に注力することになり、その煽りで選挙報道センター配属となった。センターの司令官は中杉という政治部記者だった。片山は東京一区担当となった。中杉は公共放送NHRから移籍した人物だった。大和新聞はゼロ打ちでNHRを凌駕することを目的にしていた。

中村圭二は元首相の派閥「湖月会」の秘書軍団のひとりで総決起大会の会場で元首相より指示を受け、激戦区東京一区の立候補予定者・私大政治学部の教授・若宮慶介の選対に入った。選対には都議会議員の秘書・神津も応援に加わった。

片山は懇意にしていた八田警部と居酒屋で食事をしたときに、先週ある都議会議員が心筋梗塞で亡くなったと聞かされた。その議員は23区以外の三鷹で亡くなったため監察医の見立てを受けることができない。警部は遺体の歯がピンク歯だったと教え、ピンク歯が出るのは病死でなく、溺死や絞殺時出る現象だった。この議員は捜査二課が内偵していた人物だった。本人の死によって、捜査は頓挫したが片山は事件性があると考えた。

ゼロ打ちをするには開票データの事前入手が必要で、こんなことができるんだと感心する。議員の死も選挙にはお金がかかる、そのためには裏金が必要だ。この裏金のことを告発したらどうなるのか。政治家の選挙の世界を覗いた気がしました。


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