読書を楽しむ「ダン・ブラウン デセプション・ポイント 上」
国家偵察局(NRO)の局員レイチェルは父親の上院議員セジウィック・ セクストンにレストランでの朝食に誘われていた 現在、ホワイトハウスは大統領選の渦中にあった セジウィック上院議員は現職と争っている対立候補だった 父と娘は3年前の母親のむごい死で仲たがいしていた 父親は亡き妻の財産を利用して党の大統領指名を勝ち取り NASAの乱費を批判し、選挙戦を有利にすすめていた レイチェルのNROでの役割は難解な報告書を分析して要点を抽出して 1ページ程度の内容にまとめあげる”要旨作成者”だった。 局長のピカリングに呼び出された用件は、大統領から電話がありレイチェルと 面談したいという話だった。 ザック・ハニーアメリカ大統領はレイチェルを専用機に招き入れUMBRAと いう機密情報について話した。 大統領はNASAが地球観測システム(EOS)でひとつの発見をしたと告げ 政府外の検証チームを在野の科学者4名で立ち上げ新発見に一点の疑いもないと 全員が結論を出したことを話した。 そして、今夜ホワイトハウスで記者会見を開いて、この発見を全世界に 公表すると言った。 大統領はレイチェルにこの発見を自分の目で確かめて欲しいと依頼した。 レイチェルはF-14で北極圏に属するエルズミア島の氷の滑走路に降り立った。 サーカスのテントのような建物が氷上に建っていた。 そこにはNASAの長官エクストロームがいた。 長官から2週間前にNASAが開発した衛星PODSがエルズミア島の ミルン棚氷の上空を通過したときに氷の200フィート下に大きな岩があるのを 探知し、それが隕石であり、隕石を引き揚げたら何十体もの化石が含まれて いたと説明を受ける。長官は地球外生命体が存在する動かぬ証拠だと言った。 この氷上の建物をデルタ・フォースのメンバー3人が隠密監視していた。 レイチェルは長官から科学者4名を紹介される。 マイケル・トーランドは海洋学者、コーキー・マーリンソンは宇宙物理学者、 ウェイリー・ミン古生物学者、ノーラ・マンゴアは雪氷学者。 レイチェルは隕石を見せられ父の選挙活動にどれほどの強烈な打撃を与えるかを 考え始めていた。 大統領から、レイチェルは全スタッフに新発見の集めた情報を説明して欲しいと 依頼される。 依頼された理由の中には対立候補の娘であることも含まれていた。 その頃、古生物学者のウェイリー・ミンは化石が発掘された場所で何かが おかしいと気づいた。 水のサンプルを採ろうとしたときに闇の中から金属片が飛んできて氷の壁に 囲まれた穴に落ちていった。 マイケル、コーキー、ノーラ、レイチェルの4人はテントの外で地中探査 レーダーを操作していたときにウェイリー・ミンを発見する。 それと同時に発見された隕石は誰かが棚氷を下から掘って挿入されたことが 判明した。 なぜ棚氷に埋める必要があったのか。 そして大統領は本当のことを知らずニセ情報を公開しようとしていた。 4人には背後からデルタフォースの魔の手が迫っていた。 -下巻へ続く- デセプション・ポイントは「欺瞞の極点」という意。 アメリカ大統領選に絡んだ陰謀の物語でした。 読み物としてはたいへんおもしろい。