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読書を楽しむ「谷村志穂 ボルケイノ・ホテル」

CIMG4630.JPG                                     平野茉祐子が引き継いだ温泉宿は創業百年を超えていた                                山裾の僻地にあり、電話連絡は固定電話しか使えなかった                                 家族総出で営んできたが                                                  今は杖の必要な父と自分のふたりきりになっていた                                                                                                      茉祐子が住む町には活火山があり                                                 周囲には秘湖と呼ばれる湖と秘湯と呼ばれる温泉宿が4軒ある                             茉祐子は30代半ばという年齢で子どもを産んだこともなく、年より若く見えた。                                     ここに通ってきた男たちは、新聞社の支局員や火山研究の科学者、                                          教師がいたが誰もが、時期が来たら去って行った。                                               柳田弘人も支局勤務の新聞記者で弘人と月明かりのきれいな晩に体を                                       合わせてしまったが時期がくると異動があることを告げられ                                                  「すぐ戻ってくる。約束する」と言って去って行った。                                                             積雪が観測された日に山が小噴火を起こし、宿は警察や役人や報道記者                                                 などで満室になった。                                                                            3ケ月ぶりに弘人から電話があった彼女はつっけんどんに電話を切った。                                              茉祐子は夏休み前に2週間旅館を閉めニューヨークへ旅に出た。                                                   小さなイタリアンレストランで初老の夫婦と出会い赤ワインを飲みながら                                             わいわい食べた。                                                                               店の男が山盛りのアイスクリームとエスプレッソを運んできた。                                                   アイスクリームの山にエスプレッソをかけた。                                                                アイスクリームの山が溶けてボルケイノ、火山みたいだと呟いた。                                                 茉祐子は日本人で火山の近くに小さなホテルを持っていると答えた。                                    初老の夫婦も昔、ハワイ島の火山のすぐそばのボルケイノ・ホテルに                                 泊まったすばらしい思い出があると話し始めた。                                                              茉祐子はホテルから弘人に電話を入れた。                                                                  このとき、彼女の心は解きほぐされていた。                                                                       商売を引き継ぐ人間に必要なことは何か?                                                               彼女はそのことに気づいた。                                       女主人育成物語でした。


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