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読書を楽しむ「大沢在昌 新宿鮫Ⅺ 暗約領域」

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8年ぶりのシリーズ最新作

密売人・浦田から新宿鮫こと新宿署生活安全課の鮫島に

北新宿のマンションの一室が

卸しの仕分けと売人との取引に使われるという情報が入った

建物の名はKSJマンションで部屋は302号室  

鮫島はその部屋を張り込むために向かいのマンションの空き部屋を借り監視活動を始めた。11月2日の午前2時、KSJマンションの402号室で減音装置付きの拳銃一発が発砲され、室内にいた自称中国人華恵新が死亡した。マンションはWTSという会社が管理する違法民泊施設で客はインターネットを利用して部屋を予約していた。届けていた住所と所持していた携帯電話は使い捨てで室内に荷物はなかった。WTSは暴力団田島組の元組員・権現が経営者だった。その後の捜査で華は北朝鮮と密貿易を行う業者であった疑いが浮上した。権現は事件の3日後に行方不明になり、権現の妻は脱北者だった。鮫島の部署に新しい課長・阿坂が赴任し単独捜査をやめ、機動隊にいた新人刑事・矢崎とコンビを組みことを命じられる。国際的犯罪者・陸永昌は鮫島に父親を逮捕され復讐の機会を待っていた。その陸の友人・華が日本で殺されたとの連絡が入り陸は来日した。殺人事件の捜査を警視庁の公安部が担当することになり、鮫島は殺された華が内閣情報調査室の下部機関のエージェントではないかと疑う。陸も下部機関の情報提供者であり、中国残留孤児の日本の組織「金石グループ」とも関係があり中国からクスリを仕入れ金石グループ経由で暴力団に流していた。709ページの大作で日本と北朝鮮の暗約に焦点を当ててストーリーが出来上がっている。また北朝鮮工作員の報われない人生も描かれている。今回の新型コロナウイルスが北朝鮮で拡大していたら内調の下部組織がエージェントを使って暗約してもおかしくない。そういうお話だ。今作を読むとこのシリーズまだまだ続きができなければならないと読者は知る。そういう終わり方だからだ。


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