SSブログ

読書を楽しむ「レティシア・コロンバニ 彼女たちの部屋」

CIMG4955.JPG

現代のパリを舞台に困窮した女性が避難できる施設の

ボランティアの代書人をする弁護士ソレーヌ

100年前のパリを舞台にその施設創設のため奔走するブランシュ

ふたりの女性の物語 

40歳のソレーヌは裁判所の7階から飛び降りたクライアントの実業家サンクレールの死にショックを受け、燃え尽き症候群になり数週間療養所で療養した。精神科医に勧められボランティア活動をすることになる。「代書人求む」という言葉に誘われ「連帯の羽根協会」を訪問し困窮女性のための施設「女性会館」を活動の場として紹介される。その施設は20世紀初頭に創建されたものだった400人以上の女性がここに住んでいた。彼女は週1時間の代書人のボランティアを引き受けた。ボランティア初日、パソコンを持参して出かけテーブルと椅子のある場所に座ったが見向きもされないまま時が流れた。帰り際に年配の女性が買い物カートを引きずって現れカートから雑多な紙類を出して読んでと頼まれる。封筒、はがき、パンフレット、広告などたくさん出して読んでと言われ2時間付き合いこれ以上は次の機会にと言って返したら、その女はカートの中の紙類をゴミ箱に空けていた。翌週は編物女がレシートを出してスーパーのレジ係が2ユーロ高く計算したので店長あてに抗議に手紙を書いてと頼まれる。翌週返金してもらった。セルビア女にはイギリス女王への手紙を頼まれる。ギニアのカリドゥーからはパリに連れてこれなかった息子への手紙を頼まれる。

施設には暴力や貧困、差別のせいで住居を追われた人々が暮らしている。そして居住者たちの思いがけない依頼に戸惑いながらも代書人を続けるが苦悩を打ち明けられると、どうしていいかわからなくなり、他人事とは思えず、考えずにはいられない、そして何事もなかったようには生きられない自分がいた。難しい仕事を託され、代書人の深い意味にきづく。必要とするひとのためにペンを、手を、言葉を貸すことで自分の役割を見つけたと思った矢先に事件は起きた。そして、言葉だけでは足りないときは、行動に出なければならないと自らに言い聞かす。

100年前のパリでは周囲の反対を押し切って救世軍闘士となったブランシュと夫のアルバンがパリ市内に743室ある巨大な建物を女性の居場所として購入するまでの金の工面から改修までと女性会館プロジェクトの募金キャンペーンを通して女性会館がオープンするまでを描いている。


共通テーマ: