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読書を楽しむ「木内 昇  占(うら)」

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占いに一筋の希望を求める女たちの姿  

翻訳家の桐子は30女で一軒家で独り暮らしをしている。家の瓦修理を依頼した時に瓦職人の弟子・伊助と知り合う。伊助は三月に一度は桐子の家に顔を出すようになる。伊助は長屋で独り暮らしをしながら2年前に実家から消えた血のつながらない妹・梅を探していた。伊助は桐子の家に顔を出しても梅のことを話題にするため桐子は嫉妬に駆られる。ある日、伊助は梅が見つかったと桐子に告げた。桐子は伊助が帰るときに「もうここにはこないで」と言った。その家は見知らぬ町の路地にあった。「卜(うらない)」という表札が掛かっていたので中に入った。兄弟の妹のことでうまくいかない相手がいて自分ではどうにもならないと相談した。伊助との仲が修復できるかどうかと訊ねもした。占い師は可能性を見出してお伝えするだけで、何をどう信じるかはお客様次第と答えた。桐子は数人の占い師に相談したが占いは助言に過ぎず、自分の歩む道は自分で選ぶということを学んだ。伊助の妹は売れっ子の妓で身請けもできず店が手放すこともしないということで伊助はまた桐子の家にやってきた。(時追町の卜い家)

岩下杣子は山伏村の出身で都会の大叔母の家に部屋を借りてカフェで女給をしていた。大叔母から食い扶持は自分で稼げと言われていた。そんな大叔母の家に夫の浮気の相談をするひとが訪れていた。あるとき、大叔母に代わり杣子が相談相手をした。杣子は相手の心が読めるかのような助言をして評判になった。相談室を準備して恋愛相談に答えるうちに山伏村の千里眼という異名で呼ばれるようになったが女たちが男の顔色をうかがって生きていくさもしさを見せつけられるのに嫌気がさして相談室を閉めた。(山伏村の千里眼)

占い師に興味があるひとにはお楽しみな内容です。


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