SSブログ

読書を楽しむ「松崎有理 イヴの末裔たちの明日」

DSC01690.JPG

汎用AIを搭載した搭載した汎用ロボット・ニワカにクビを言い渡された

労働基準法第21条の汎用AI導入による人員整理に該当したためだった

政府の予測で汎用AI普及後の失業率は85%で国民は収入があろうがなかろうが、職についていようが無職であろうがベーシックインカム制度で国民全員に無条件で同じ金額が給付される。人間がやりたがらない仕事や人間が不得手な仕事はAIに代替されていった。面談は10分で終了し、持ち場へ戻ると事務部門の机は半分ほど空いていた。人間相手の引継ぎ作業も不要だった。事務しか知らない男は追加収入を得るために求人情報を探したが職種の事務系はゼロ件。見つかった仕事は人間にしかできない肉体労働。それは治験。治験情報サイトに登録すると数日で治験への参加が決まった。試験する薬は3種類で確率薬理学という新理論に基づいた実験だった。一つ目の薬剤はくじ運が良くなるというものだった。福引で3等が当たった。二つ目の薬剤はモテ薬男の夢。交差点で生まれてはじめて女性から声をかけられお茶した。三つ目の治験薬は人類の夢。事故死をまぬかれる体の実験。踏切で非常装置の故障で電車に轢かれそうな少女を救った。男の治験データはAIが解析し研究課題「失業後の人間に人生の意味を回復させるプラセボ薬の開発」として論文にまとめられた。未来において人間はAIのデータ分析の研究材料にすぎないというお話。