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読書を楽しむ「西村 健 バスに集う人々」

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男は警視庁を定年退職した元刑事だった

一日をどう過ごしてよいものやら

途方に暮れていたら

妻に勧められ路線バスの旅をはじめた

そういう人々がバスで知り合いになり

日常の中で疑問に感じたことを

元刑事の妻に話すと妻が推理をして

その理由を見事に的中させるという物語


吉住は家業の不動産会社を息子・雄也に譲ってバス旅をはじめた。雄也は居酒屋で相席になった男と土地がどんなことに役立つのかという話をしていたが吞み過ぎて寝息を立てていたら相手の男が不動産の権利証を忘れて二人分の代金を支払い消えてしまった。雄也は父親と権利証の物件を訪問した。その物件は再開発地域の中にぽつんと建っていたが人が住んでいないように見えた。バス旅仲間の元刑事にことの真相を話したら元刑事の妻が居酒屋の近くに長期入院が可能な病院はありませんかと質問を受け、調べたら近くにあった。(芝浜不動産)
2泊3日の旅に新幹線で青森に向かった翔太と行弘と球人の高校生。球人だけがリックに必需品を詰め込んでいた。その3人に不思議なことが起きていた。3人が観光している場所に必ず現れる男がいた。3人は男に監視されていると感じ、理由を考えたが思い当たらない。それで元刑事に相談をした。(津軽を翔ぶ男)

同じマンションに住んでいた住人同士が同じバス旅仲間だった。長部さんと垣園さんは散歩していた犬が奇妙な行動をとることに気が付いた。その犬は公園を縁取るようにして設けられた通路をぐるぐると時計回りに回っていた.(回り回って)

警察の元同僚がバスで顔を合わせ有名な漫画家が住んでいたという「ヒタチ荘記念館」に纏わる事件の謎の話題になった。記念館はインターネットで予約することで入館できる仕組みだった。必要事項を入力するときに日時を選択するとパス・コードが割り振られ当日名前とパス・コードを告げれば入館できる。その顧客データが流出したらしいということだった。入館した客あてに漫画関連グッズのパンフレットがダイレクトメールで届き、記念館に客から連絡が入りデータの流出が疑われた。ネット予約専門の業者から、データは記念館に送られていたが名前とパス・コードだけで住所は送られてなかった。推理が行き詰まり元刑事の自宅を訪問した。(聖と俗)

バスの旅の仲間に未亡人がいて、旅の途中で夫のことを思い出した。自宅に夫の後輩が来た時の会話が台所に聞こえてきた。「マリコ」にしてやられた」とか、ひそひそ話で「みずな」とか何度も言っていた。夫は「人生最大の過ち」とも言っていた。妻はこのとき夫に対する疑問が頭の隅にこびりついた。疑問を晴らす機会を得ないまま夫は亡くなってしまった。夫は建設会社に勤めていて、バス旅で千住大橋のたもとにある千住リバータウンに来ていた。夫が手掛けたものだった。未亡人のもやもやを晴らすために元刑事の自宅を訪問した。(幻惑の女)

公園のジャングルジムをお化けジムと子どもたちが言っていた。ジャングルジムの向きが朝になったら変わっていて、お化けの仕業ということだった。(お化けの正体)
路線バスのコーディネイターが博多版バスツアーを企画した。バスツアーメンバーのひとりは元公安警察官で妻の故郷に定年退職で戻り、夫婦で博多見物をしていた。妻が行く先々で青いセーターの男を見かけ、夫に恨みを持つ人物が後をつけましているのではと考えた。(追いかけて、博多)
元刑事の妻が最後に挑んだ事件は、インターネットの情報を盗み出すフィッシング詐欺常習犯の行方。犯人は、路線バスを駆使して逃亡していた。(バス・フィッシャーを探して)
短編が8話。主婦のカンが疑問をぴしゃりと当てる。細かいところに手が届く女性ならではの発想に完敗です。


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